ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 な、何今の!?
 依蓮くんっぽくなかった。

 今までわたしがどんなに顔にご飯粒つけようが、「もっと右だよ」とか言って触るなんてこと絶対しなかったのに。


「……っ」


 やっぱり、いつも通りではないんだな――……。

 てかなんでさっきの、あんなにエロいって思っちゃったんだろう……。
 なんか今まで見たことないような色気があったんだけど……。

 いや違うな、依蓮くんが見せないようにしていたんだ。
 “お兄ちゃん”でいてくれようとしていたから。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」

「片づけはわたしがやるねっ」

「あっ莉茉ちゃん」


 せめて洗い物はわたしがやって挽回しなきゃ!と思ってお皿を流し台に運ぼうとしたら――、


「うわっ」
「危ない!」


 椅子に足を引っかけて転びそうになった。
 すぐに依蓮くんが支えてくれたおかげで、お皿も割れずに無事だったけど。


「大丈夫?」
「うん、ごめんね……」


 ――か、顔が近い……!

 てか今依蓮くんに抱き止められた感じになってる!?


「ありがとう!もう大丈夫だからっ」

< 57 / 62 >

この作品をシェア

pagetop