ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜
名前は千代崎亜蘭くん。
わたしより一つ年上だった。
わたしが五歳の時にお隣に引っ越してきてから、よく亜蘭くんに遊んでもらった。
亜蘭くんは足が速くてボール遊びもなんでも得意。
ドジなわたしはいつも亜蘭くんの後ろをくっついていたっけ。
「まってよう、あらんくん!」
「はやくこいよ、りま!」
「っ! いた〜い」
「あーあ、またころんで。りまはドジだなぁ」
ちょっぴり意地悪な亜蘭くんはわたしのことをからかったりもする。
「ううっ」
「なくなって。ほら、てつないでやるから」
でも、最終的にはいつも優しかった。
わたしが他の近所の男の子にからかわれて、泣かされた時は。
「おい!りまのことなかすな!!」
からかってきた子たちのことを怒って、守ってくれた。
時々意地悪だけど、決してわたしを置いて行ったりしない。
ヒーローみたいに守ってくれる亜蘭くんは憧れのお兄ちゃんで、わたしの初恋の人。
わたしのお母さんの再婚が決まり、引っ越すことになって亜蘭くんと離れることになった時は、寂しくて泣いたなぁ。
「ったく、この泣き虫。ほんとに莉茉は俺がいないとダメだよな。迎えに行ってやっから、それまでにドジ治しておけよ?」