ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜
別れる時、亜蘭くんはわしゃわしゃとわたしの頭を撫でた。
髪型はぐちゃぐちゃにされたけど、ニカッと笑った亜蘭くんがカッコ良すぎてドキドキしたっけ。
亜蘭くんはビターチョコレートみたいなんだよね。
なんでもできて完璧で隙がない。意地悪に翻弄してきたりして、一筋縄でいかないほろ苦さがある。
でも苦すぎない、ちゃんと優しい甘さも兼ね備えてるの。
「……亜蘭くん、元気かなぁ」
「莉茉ってやたらとスイーツで例えるよね」
「ココちゃんもスイーツで例えたりしない?」
「しないわ」
残念、おすすめなのに。
まあ何はともあれ、これがわたしの初恋の話だ。
亜蘭くんと別れたのはお母さんが再婚する前だから、ちょうどわたしが小学校を卒業した後かな。
それ以来ずっと会ってないなぁ。
「――で、今は依蓮先輩にメロメロってわけだ?」
「だからぁ、依蓮くんはお兄ちゃんなんだってば」
「だって今の話聞いてると、初恋のアランくんとはバイバイしたけど、今は依蓮先輩がいるから大丈夫ってことじゃないの?」
「違うよー!初恋は思い出になっただけ!亜蘭くんがわたしのこと妹みたいにしか思ってないの知ってたし、わたしも小さかったから恋人になりたいとかは思ってなかったもん」