ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 ココちゃんが叫んだ直後、顔面に思いっきりボールがヒットした。


「う……っ」

「莉茉ーー!!」


 ボールが顔面に当たるなんて、小学校の頃から何度も体験してきた。

 ドッジボールとか、頑張ってボールをキャッチしようとするのに何故か顔面で受け止めてしまうの。
 バレーでもレシーブしようとしたら、そのまま自分の顔でレシーブしてしまったり。

 でも、ただ立ってるだけでボールが直撃したのは初めてだなぁ。


「ごめん、甘木さん!大丈夫!?」


 大慌てで駆け寄ってきたのは、同じクラスの佐藤くんだった。


「大丈夫だよ?」

「甘木さん!鼻血出てる!」

「はれ、」


 ああ、どうしよう。
 これは依蓮くんのジャージだから汚せないのに。


「保健室行こう!!」
「うわっ」


 意外と強引な佐藤くんにグイッと腕を引っ張られ、保健室を目指す。
 鼻血が垂れないように、上を向きながら。

 我ながらヤバい人に見られると思うけど、そんなことは言ってられない。

 幸いにしてなんとかジャージを汚すことなく保健室に辿り着き、先生に処置してもらって鼻血は止まった。
< 9 / 62 >

この作品をシェア

pagetop