ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜
ココちゃんが叫んだ直後、顔面に思いっきりボールがヒットした。
「う……っ」
「莉茉ーー!!」
ボールが顔面に当たるなんて、小学校の頃から何度も体験してきた。
ドッジボールとか、頑張ってボールをキャッチしようとするのに何故か顔面で受け止めてしまうの。
バレーでもレシーブしようとしたら、そのまま自分の顔でレシーブしてしまったり。
でも、ただ立ってるだけでボールが直撃したのは初めてだなぁ。
「ごめん、甘木さん!大丈夫!?」
大慌てで駆け寄ってきたのは、同じクラスの佐藤くんだった。
「大丈夫だよ?」
「甘木さん!鼻血出てる!」
「はれ、」
ああ、どうしよう。
これは依蓮くんのジャージだから汚せないのに。
「保健室行こう!!」
「うわっ」
意外と強引な佐藤くんにグイッと腕を引っ張られ、保健室を目指す。
鼻血が垂れないように、上を向きながら。
我ながらヤバい人に見られると思うけど、そんなことは言ってられない。
幸いにしてなんとかジャージを汚すことなく保健室に辿り着き、先生に処置してもらって鼻血は止まった。