月と空と太陽と
放課後、蒼空と太陽と月子は 学校帰りによく行くファーストフード店に立ち寄った。

「安藤は今日は用事か?」

蒼空はポテトを食べながら月子に聞く。

「んー。今日は彼氏とデートだってー。」

シェイクを飲みながら月子は答える。

なんだよー リア充かよ、とブツクサ蒼空は言う。

「お前もさ、安藤見習って彼氏とか作れよな。」

むっ。人の気も知らないで。

「うるさいなあ。そういう高階もいないくせに。」

「俺はさ、その気になったら彼女なんてすぐに出来るけど めんどくさいから作ってないのー。」

ふふん、と 上から目線で言う蒼空。

くー。腹立つ…… けど、その気になったら確かに彼女はすぐ出来そうだ。

月子は蒼空を睨みながら ストローをガジガジかじった。

「太陽は?彼女作んねーの?」

蒼空が 黙って話を聞いていた太陽に聞く。

太陽は 目線を上げて蒼空を見る。

「そういうのって作るもんじゃなくない?
好きになろうと思ってなるもんじゃないだろ。」

たしかに。

月子は心の中で太陽に同調した。

だって、知らないうちに勝手に好きになってるもんなー……。

ぽ〜っと考えていると太陽と目が合った。

太陽が ふっ、と笑う。

お前モテるのになー もったいないーと蒼空は太陽をからかう。

「でもまあ、今は部活やクラスのみんなで騒ぐの楽しいから このままがいいかな。」

と キラキラな笑顔で蒼空が笑った。

きゅん、と月子の胸がときめいた。

そう、こうやって何気ない会話が楽しいのだ。
この時間を大切にしたい。

今もじゅうぶん 私にとってはリア充だ。

月子は、本人に気付かれないように そっと蒼空の方を眺めた。

そんな様子を太陽はじっと見つめていた。

それから、三人は それからもうすぐしたら行われる体育祭のことについて あれこれ話した。

近々 体育祭の参加種目をクラス内で決めるのだ。

陸上部である二人は さぞかし活躍することだろう。

あれこれ話し込んでいると すっかり辺りが暗くなり、三人は解散することにした。
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