好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜


 コラボカフェに行く約束を交わした後、私はなんだかそわそわと妙に心が落ち着かない。

 勢いで返事をしてしまったけど、男性と出かけるなんていつぶりだろう。

 それに、休みの日に千歳さんと出掛けるなんて現実味のないことだった。

 胸の鼓動は落ち着いてくれなくて、いつまでもうるさいままだった。



 千歳さんとコラボカフェに行く当日は、クローゼットから服たちを並べて吟味した。
 会社ではオフィスカジュアルスタイルで、細身のパンツにシャツという定番の服装が多い。

 なんとなく会社とは違う服装にしたくて、ワンピースを選んだ。
 ふわりとスカートを揺らしながら、待ち合わせ場所へと向かう。

 透き通るような青い空を見上げると、足取りも軽くなる。

 辿り着いた目的地であるカフェには、すでに行列が出来ていた。
 並んでいる人だかりを見ると、年齢層は若く、学生と思われるかわいらしい女の子たちや、カップルが多かった。

 その最後尾に、すらりと立つ長身の男性がすぐに視界に入った。
 千歳さんだ。

 ラフな白いロンTに、細身のパンツを履いていて、シンプルな服装だが、千歳さんのスタイルの良さが際立っていた。

 行列に並ぶ女性たちの中に、長身の千歳さんが一人でいるので、ひそひそと彼を見ながら湧き立つ声も聞こえてきた。

< 10 / 54 >

この作品をシェア

pagetop