好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜
3、挑戦と、変化
あっという間に時間は過ぎ、食べ終えた私たちはお店の外へと出た。
目的を果たした私たちはすぐに解散かと思ったが、さよならの挨拶をするタイミングを逃してしまって、街中を肩を並べて歩いていた。
もう少し話したいな。
そんな欲が出て、自分からさよならを言うことをためらった。
彼の足が進む方に、合わせて足を進めた。こうして肩を並べて歩くと、千歳さんの身長の高さを改めて感じて、ドキドキが加速する。
「今日はありがとう。香坂が付き合ってくれなかったら、このコラボカフェにこれないまま終わってたよ」
「いえ……、楽しかったです」
楽しかったという感想は本音だった。新たな千歳さんの一面が見れてすごくうれしかった。
「うさぽんの人気度を、改めて感じたな」
「これだけ愛されるキャラクターの企画や広告を、うちからも出したいですね」
「……今募集してる企業広告のコンペに香坂も出してみれば?」
千歳さんがいうコンペというのは、社内で行われる新規クライアントの事業広告を募集するもので。
社内人材育成強化。という名目で職種問わず参加可能だった。それは企画アシスタントの私も該当する。