好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜
会社から一緒にお店まで行こうという千歳さんの提案を丁寧にお断りをした。
やっぱり佐伯さんにばれたくないと思ったからだ。
現地集合を申し出ると、納得がいかないような顔をしながらも渋々了承してくれた。
定時に仕事を終えた私は先に予約してくれた「隠れ屋 みなせ」という居酒屋に到着する。
半個室風の席に案内され、白い壁と照明の淡い光が落ちつく店内で千歳さんを待った。
しばらくすると、千歳さんが到着する。
目の前の席に座って、ネクタイを緩めたしぐさに色気を感じて思わず見入ってしまった。
「遅れた。待ったか?」
「ぜ、全然、待ってないです」
見入っていたことがバレてしまわないように、慌てて視線を伏せる。
コラボカフェに出掛けた日は昼間だった。
夜の居酒屋のムードを感じる夜独特の雰囲気に、それだけで少し緊張してしまう。