好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜

 緊張に耐えられなくなった私は、たいしてお酒が強くないくせに、運ばれてきたジョッキのビールを勢いよく喉に流し込んだ。

「香坂、お酒強いの?」
「いえ……弱いんですけど。緊張をほぐしたくて」
「ははっ、飲みっぷりいいなと思ったら……」

 目元と唇に薄い笑みを浮かべてじっと見つめられる。

「緊張してんのは、この雰囲気に? 俺に?」
「ぜ、全部です!」
「ははっ、」

 ドキドキが加速して、焦って答えた私の反応がおもしろかったのかいたずらに笑う。

 今日の千歳さんは、なんだか意地悪だ。
 本心なのか、からかってるだけなのか。


 事実はわからないまま、そんな彼にときめき数値はあがっていく。妖美に微笑む千歳さんに見つめられると、心臓がもちそうにない。
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