好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜
「どうしたんですかぁ? そんなに驚きます? 失礼しちゃうなあ」
「なんで……」
「なんか、どうしても私とデートしたいらしいです。ちょっとじらそうかなって思ったんですけど、気が変わったら嫌なんで行くことにしました」
「……」
「あれ? もしかして莉乃先輩、一回飲みに行ったくらいで期待しちゃいました? 莉乃先輩、男の免疫ないですもんね?」
ニヤリと口角を上げて、さらに続ける。
「男って、結局私みたいに放っておけないタイプが好きなんですよ? いい勉強になりましたね」
勝ち誇ったような笑顔を残すと、そのまま去っていった。
私はその場から動けなかった。
きっと考えることを頭が拒否したのだと思う。
頭が真っ白になって、思考が停止した。