好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜
6、罠にハマる

 その日以降、何度も「盗用はしてない」と訴えた。
 だけど、その度にどんどん空気が重くなるのがわかった。

 私を見る同僚の視線も、針に刺されたように鋭くなっていく。明らかに同僚からの態度が変わったのだ。


「香坂さんさ、いい加減みっともないよね」
「盗用した人が『やりました!』なんて自白しないか」
「佐伯さん、頑張って告発したのにね。その勇気を踏み躙るんだ」


  同僚たちから聞こえてくる声は、私を非難するものばかりだった。


 盗用をしてない!
 佐伯さんが嘘をついている!

 そう真実を訴えれば、訴えるほど。
 批判の声は大きくなっていく。


 いつの日か、私は疲れてしまった。
 いくら真実を伝えたところで、誰も信じてくれない。
 信じてくれないどころか、状況はどんどん悪化していく。
 
 心がしんどくなって、真実を飲み込むことにした。
 だって、そうするしか自分を救えなかった。

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