略奪☆エルダーボーイ
「・・・で?アンタはどう思ってんのよ」



「え、どうって・・・なにが?」



「その先輩のことよ。憎からずは思ってるんじゃない?」



コト・・・と飲み物を置き、頬杖をつきながらストローをいじるつぐみ。



「・・・まぁ、嫌いでは無いけど・・・」



自分の飲み物に手を伸ばし、ストローに口をつける。



黒瀬さんは嫌いでは無い。



どっちかと言われれば、好きな部類に入るだろう。



でも、それは恋愛云々の話じゃない。



「灰田くんには負けるって感じか。もしその先輩に告白でもされたらどうするの?」



「うぐっ・・・ゲホッゲホッ・・・」



つぐみの思いもよらない言葉に、飲み込もうとしていた飲み物が変なところに入り、思わず手を当てて咳き込む。



「あ、むせた」



「ケホッ・・・な、なにを急に言い出すわけ!?」



咳きこみながら急な展開についていけずに声を荒らげる。



自分でも考えたことはあるけど・・・それをまさかつぐみに聞かれるとは思わなかった。



「急でもないじゃない。で、どうなのよ」



「ど、どうって・・・黒瀬さんが私のことを好きって決まったわけじゃないんだからなんとも言えないよ」




「あんなの好きに決まってんじゃん。伊吹、そんなことも気付かないバカなの?」



「ば、バカって・・・」



こっちも、多少はそう考えたことはあるよ。



それらしいことも、冗談とはぐらかされたけど言われたことあるし・・・。



だからって本当に好きかどうかなんて分からないじゃん。



「・・・まぁ、伊吹は基本優等生だけど、そういうことに対してはポンコツに成り下がるからな〜」



「・・・ポンコツ・・・」



バカって言ったりポンコツって言ったり・・・つぐみ、私の事けなしすぎじゃない?



まぁ確かに、こんなことでわざわざ相談されたらけなしたくもなるか。



「まぁ、確かに告白はされてないみたいだし、今考えても無駄ね。告られた時に考えなさい」



「そんな他人事みたいに・・・」



「当たり前じゃない。他人事だもの」



何を言っているんだコイツは。みたいな態度で飲み物に口をつけるつぐみ。



やっぱりそうなるよね。



結局、解決しなかったな。


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