略奪☆エルダーボーイ
そんなことを考えていると、目の前に以前私をナンパしてきた男子達のいるチームが現れる。
「あっ、美人マネちゃーん!今日こそ遊び行こー!」
私の存在に気付いた途端、駆け寄ってくる2人組。
ビクッと肩を震わせながら縮こまる。
あの2人、強引だったから苦手なんだよな・・・。
そんなことを考えていると、黒瀬さんが私を庇うように2人組と私の間に割って入った。
「昨日はどうも〜。うちのマネージャーにちょっかいかけたいなら、俺達に勝ってからにしてくださーい」
「あぁ!?テメェには興味ねぇっつってんだろ。退け!」
「イヤでーす」
ニコニコしながらも、どこか威圧感を醸し出している黒瀬さん。
そんな黒瀬さんの背中に隠れ、様子をうかがっていた。
「チッ・・・テメェらコテンパンにしてやっから覚悟しとけよ。・・・美人マネちゃーん。俺ら、楽しみにしてるからね〜っ」
黒瀬さんを避け、私に声をかけた後にどこかへと去っていく。
完全に姿が見えなくなったあと、ホッと一息ついた。
まさか鉢合わせると思ってなかったから、驚いた。
「・・・伊吹ちゃん、アイツらもう居なくなったから、そんなにぎっちり俺の服掴まなくても大丈夫だよ」
「?」
黒瀬さんに声をかけられたけど、なんのことか分からなくてハテナを浮かべる。
だけど、どうやら私は黒瀬さんの背中にくっついて服を掴んでいたようだ。
「!?・・・すみません!!」
パッと手を離して黒瀬さんから離れる。
バスの中もだし今も黒瀬さんに結果的にくっついてしまった。
なんか、恥の上塗りみたいなことをしちゃってない?
「別に構わないよ。怖かったんでしょ?」
離れた私の方を見ながら、どこか余裕のある表情をしている黒瀬さん。
こういうことに慣れてるのかな・・・?
「怖かったというか・・・隠れたかったというか・・・すみません」
「仕方ないよ、気にしないで。皆、待たせてごめんね。中に入ろう」
黒瀬さんは、慰めるような口調で話したあと、皆に声をかけて体育館の中へと入るように促した。