略奪☆エルダーボーイ

そんなことを考えていると、目の前に以前私をナンパしてきた男子達のいるチームが現れる。



「あっ、美人マネちゃーん!今日こそ遊び行こー!」



私の存在に気付いた途端、駆け寄ってくる2人組。



ビクッと肩を震わせながら縮こまる。



あの2人、強引だったから苦手なんだよな・・・。



そんなことを考えていると、黒瀬さんが私を庇うように2人組と私の間に割って入った。



「昨日はどうも〜。うちのマネージャーにちょっかいかけたいなら、俺達に勝ってからにしてくださーい」



「あぁ!?テメェには興味ねぇっつってんだろ。退け!」



「イヤでーす」



ニコニコしながらも、どこか威圧感を(かも)し出している黒瀬さん。



そんな黒瀬さんの背中に隠れ、様子をうかがっていた。



「チッ・・・テメェらコテンパンにしてやっから覚悟しとけよ。・・・美人マネちゃーん。俺ら、楽しみにしてるからね〜っ」



黒瀬さんを避け、私に声をかけた後にどこかへと去っていく。



完全に姿が見えなくなったあと、ホッと一息ついた。



まさか鉢合わせると思ってなかったから、驚いた。



「・・・伊吹ちゃん、アイツらもう居なくなったから、そんなにぎっちり俺の服掴まなくても大丈夫だよ」



「?」



黒瀬さんに声をかけられたけど、なんのことか分からなくてハテナを浮かべる。



だけど、どうやら私は黒瀬さんの背中にくっついて服を掴んでいたようだ。



「!?・・・すみません!!」



パッと手を離して黒瀬さんから離れる。



バスの中もだし今も黒瀬さんに結果的にくっついてしまった。



なんか、恥の上塗りみたいなことをしちゃってない?



「別に構わないよ。怖かったんでしょ?」



離れた私の方を見ながら、どこか余裕のある表情をしている黒瀬さん。



こういうことに慣れてるのかな・・・?



「怖かったというか・・・隠れたかったというか・・・すみません」



「仕方ないよ、気にしないで。皆、待たせてごめんね。中に入ろう」



黒瀬さんは、慰めるような口調で話したあと、皆に声をかけて体育館の中へと入るように促した。


< 46 / 91 >

この作品をシェア

pagetop