略奪☆エルダーボーイ
加藤 伊吹side



黒瀬さんから告白され、答えが出せないまま1ヶ月の月日が流れた。



夏の暑さが和らいできて秋めいてきた頃、昼休みでつぐみと一緒にご飯を食べていた。



「そういえば、明日伊吹の誕生日だよね?」



「え・・・まぁ・・・そうだね」



つぐみの言葉に、カレンダーを確認してから返答する。



そういえば明日だっけ・・・ここ最近黒瀬さんからの告白の動揺してたから忘れてた・・・。



「そうだと思った。んで、何か欲しいものある?」



「・・・あ・・・」



そう言ってスマホで近場にある店舗の広告を見せてくるつぐみ。



それを見ていると、シンプルだけど可愛いらしいデザインの靴が目に入った。



だけど、ヒールが思いのほか高くて尻込みしてしまう。



コレ、可愛いけど・・・ヒール6cmもあるのか・・・。



今でも高いのにさらに高くなっちゃう・・・可愛いけどやめとこう。



「なんかいいのあった?」



「え?うん、この靴良いなって思ったんだけど・・・やっぱりヒールあるから・・・」



「あ、それね!可愛いし良いと思うけど・・・伊吹、ヒール嫌いなんだっけ?」



「嫌いって言うか・・・」



つぐみの発言に言葉が詰まる。



嫌いというか、これ以上身長高くなりたくないだけなんだけど・・・。



それを言ったところで身長高いのいいじゃんとしか言われてこなかったので言うのを辞める。



「ふぅん・・・。じゃあ他には?」



「他かぁ・・・このバックとか?」



「うわ!!可愛い!!伊吹に似合いそう〜!!これで決定ね!」



スマホをスクロールして目に付いたバックをつぐみに見せると、キラキラとした目でスマホを手に取った。



この流れ、買って貰っちゃう感じなんだけどいいのかな?



「でもいいの?結構高いよ?」



「いいのいいの!明日部活ある?」



「明日は部活オフだよ」



「ラッキー!!じゃあその時に出掛けよう!」



嬉々としているつぐみに微笑みながらいつもの場所で待ち合わせということになった。



誕生日だということを覚えてるだけじゃなくてこうして誕生日プレゼントまでくれるなんて・・・。



本当、良い友達を持ったな。



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