略奪☆エルダーボーイ
いわゆる壁ドンをされてしまっている今の状態に緊張が隠せない。
どんどん顔が熱くなっていくのを感じながら、手を前に出して黒瀬さんを遠ざけようとする。
「ん〜?そうじゃないの?じゃあどういうこと?俺に教えて?」
前に出した腕の手首を掴んで顔を近付けながら甘い声で迫ってくる黒瀬さん。
少しでも動いたら触れてしまいそうな距離に、私は下を向いた。
「だ、だって・・・私、女の子なのに身長高いし・・・」
「俺の方が身長高いよ?」
「め、目つきだって悪いし」
「切れ長な目で綺麗だと思うよ?」
「可愛くないし・・・!」
「すぐ真っ赤になる所とか可愛いと思うけど?」
「う・・・」
自分自身が嫌いな所を上げていくけど、黒瀬さんに論破される。
次の言葉を紡ごうとするけど、なかなか思いつかなくて言葉に詰まる。
「そういう伊吹ちゃんだから俺は好きになったんだよ。ねぇ、伊吹ちゃんは俺の事、どう思ってるの?教えて?」
「・・・あの・・・す・・・好き・・・です・・・」
とろけてしまうほど甘く語りかけてくる黒瀬さんに、思わず自分の気持ちを告げる。
暴れだしたのかと思うほど心臓がバクバクと音を立てて鳴り出した。
「っ・・・そういう顔されると、止まれないんですけど?」
「と・・・止まらなくて・・・いいです・・・」
「っ──・・・!!」
「んっ・・・!?」
切羽詰まったような口調の黒瀬さんに、小声で呟いた途端、黒瀬さんは目を見開いたあと噛み付くように私の唇に自分のものを重ねてきた。
突然の行動に驚きはしたけど、嫌な感じはしない。
その行為を受け入れていたけど、あまりにも長い上に、口の中に舌が侵入してくるのがわかった。
「んっ・・・ふっ・・・ちょっ・・・待っ・・・」
「待たない。止まれないって、言ったでしょ」
少しだけ口を離して余裕のなさそうな声を上げたあと、再び口を塞がれてしまう。
「んんっ・・・ふっ・・・んっ・・・!!」
長く続くキスに酸欠状態になってきたのか頭がぼーっとし始める。
立っているのもつらくなってきて、壁に背をつきながらズルズルとずり落ちていく。
それを黒瀬さんは腕を使って支えてくれていた。
「・・・ごめん、伊吹ちゃん。やりすぎた・・・大丈夫?」
「は・・・ハイ・・・」
ゆっくりと離れていく唇・・・そして、口から垂れた唾液を指で拭い取ってくる。
ぼーっとした頭で黒瀬さんを見つめながら返事をした。
「・・・可愛い顔しちゃって・・・。ねぇ、伊吹ちゃん。頭ぼーっとしてるかもしれないけど、あえて今言わせて?」
「・・・?」
「好きだよ。・・・俺と、付き合って?」
愛おしそうな表情で私を見つめながら、私の手を掴んでそこにキスを落とす。
ぼーっとする頭でも、再度告白されているんだと分かり頬が緩んだ。
「・・・はい」
「うん、ありがとう」
返事を返すとすごく嬉しそうにしながら触れるだけのキスを落としてくる。
私はそれを受け入れ、目を閉じた。