略奪☆エルダーボーイ
第10話 私の想いー小日向つぐみsideー
小日向 つぐみside
伊吹が同じ部活の先輩に呼び出された後、黒瀬さんが会いに来た。
正確には、伊吹に。
伊吹がいないことと、もしかすると告白かもしれないと伝えると急いで伊吹の元へと向かった黒瀬さん。
黒瀬さんは私が見ても伊吹にぞっこんだ。
そして伊吹も──自覚はしてないけど、黒瀬さんのことを想っている。
両想いである2人のことが羨ましく思ってしまう。
私も・・・私だって、灰田くんのことが・・・。
だけど、私はこの気持ちにフタをした身・・・そんなことは言ってられない。
それに、最近部活を見に行くと灰田くんは伊吹に積極的に声をかけているように見えた。
灰田くんはもしかすると伊吹のことが好きなのかもしれない。
そんなことを考えている時、伊吹から黒瀬さんのことについて話があると言われた。
放課後、帰り際に校舎の外で黒瀬さんとの待ち合わせをしている伊吹から話を聞いていた。
それは、黒瀬さんと付き合うことになったというものだった。
「・・・で?黒瀬さんの告白、受けたんだ」
「うん。部活の先輩に告白されて好きな人を聞かれた時、灰田くんじゃなくて黒瀬さんかを思い浮かんだから・・・黒瀬さんの特徴を答えたんだけど、それ聞かれてたみたいで」
照れくさそうに話す伊吹は、とても幸せそうだ。
「ふぅん、よーやく自覚したの。ポンコツもここまで行くと天然記念物ものね」
「え?」
「アンタ、私に1番最初に黒瀬さんのこと相談してきた時から灰田くんが好きって言ってた時よりも黒瀬さんといる時の方が乙女の顔してたわよ」
前に伊吹と出掛けた時に相談された時のことを思い出す。
その時に黒瀬さんに会った時、どう見ても好意がある人の顔をしていた。
その時は混乱されるだろうからって言わなかったけど・・・こんなに自覚しないとは思わなかった。
「う、嘘・・・!?」
「嘘ついてどーすんのよ。本当の事よ」
「えぇ〜・・・そんなの、気付いた時に言ってよ〜!」
顔を押さえながら驚いている伊吹に本当のことだと告げると、ブーブーと文句を言ってくる。
あの時そんなこと言ったら、灰田くんと黒瀬さん、両方好きになっちゃった!?みたいなこと思っちゃうだろうに。
「だって自覚してないアンタに言ったところで戸惑うだけでしょ?言うだけ無駄」
「う〜・・・いじわる」
「親切心よ。ありがたく受け取りなさい」
憎らしげに私を見る伊吹に対して胸を張りながら腕を組む。
あの状態で言ったら伊吹の事だ、慌てていたはずだ。
そうならないようにわざと伝えなかった私の優しさだ。
「もう・・・」
「伊吹ちゃん、お待たせ」
「あ、黒瀬さん!」
伊吹が拗ね始めた時、待っていた黒瀬さんが現れた。
黒瀬さんが現れた瞬間、嬉しそうな顔を浮かべる伊吹。
幸せそうな顔しちゃって・・・全く。
「それじゃ、私行くね!」
「ハイハイ、じゃーね」
黒瀬さんと一緒に帰る伊吹に手を振り、2人の背中が小さくなっていって振り返ることがないだろうと判断した時、後ろを振り返って銅像のある所を見た。
「もういいわよ、灰田くん」
そう声をかけると、結構前から隠れていた灰田くんが銅像の陰から姿を現す。
そして、私の方に近寄ってきた。
「・・・黒瀬さんと伊吹さん、付き合ったんですね」
「そうみたいよ」
伊吹達が歩いていった方に視線を向けている灰田くんの表情はどこか浮かない顔をしていた。
その表情は伊吹に好意があると言わんばかりの顔で・・・少しだけ、胸が痛む。
「・・・俺がもし、伊吹さんが動くのを待たずにアプローチしてたら・・・勝ち目あったんですかね・・・」
姿が見えなくなっても伊吹達が立ち去った方を見つめながら呟く灰田くん。
その表情は失恋をしたと言わんばかりで・・・私まで苦しくなってくる。
「何言ってんの。他の誰よりもあったわよ。これは待つ選択をしたアンタが悪いわね」
「・・・そーっすね・・・自分でもそう思います」
「・・・今日部活ないんでしょ。カフェでも行く?話聞くよ」
「・・・アザッス、つぐみさん。」
悲しそうな笑顔を見せながら2人で近くのカフェへと向かう。
その最中も、灰田くんは浮かない顔をしていた。
伊吹が同じ部活の先輩に呼び出された後、黒瀬さんが会いに来た。
正確には、伊吹に。
伊吹がいないことと、もしかすると告白かもしれないと伝えると急いで伊吹の元へと向かった黒瀬さん。
黒瀬さんは私が見ても伊吹にぞっこんだ。
そして伊吹も──自覚はしてないけど、黒瀬さんのことを想っている。
両想いである2人のことが羨ましく思ってしまう。
私も・・・私だって、灰田くんのことが・・・。
だけど、私はこの気持ちにフタをした身・・・そんなことは言ってられない。
それに、最近部活を見に行くと灰田くんは伊吹に積極的に声をかけているように見えた。
灰田くんはもしかすると伊吹のことが好きなのかもしれない。
そんなことを考えている時、伊吹から黒瀬さんのことについて話があると言われた。
放課後、帰り際に校舎の外で黒瀬さんとの待ち合わせをしている伊吹から話を聞いていた。
それは、黒瀬さんと付き合うことになったというものだった。
「・・・で?黒瀬さんの告白、受けたんだ」
「うん。部活の先輩に告白されて好きな人を聞かれた時、灰田くんじゃなくて黒瀬さんかを思い浮かんだから・・・黒瀬さんの特徴を答えたんだけど、それ聞かれてたみたいで」
照れくさそうに話す伊吹は、とても幸せそうだ。
「ふぅん、よーやく自覚したの。ポンコツもここまで行くと天然記念物ものね」
「え?」
「アンタ、私に1番最初に黒瀬さんのこと相談してきた時から灰田くんが好きって言ってた時よりも黒瀬さんといる時の方が乙女の顔してたわよ」
前に伊吹と出掛けた時に相談された時のことを思い出す。
その時に黒瀬さんに会った時、どう見ても好意がある人の顔をしていた。
その時は混乱されるだろうからって言わなかったけど・・・こんなに自覚しないとは思わなかった。
「う、嘘・・・!?」
「嘘ついてどーすんのよ。本当の事よ」
「えぇ〜・・・そんなの、気付いた時に言ってよ〜!」
顔を押さえながら驚いている伊吹に本当のことだと告げると、ブーブーと文句を言ってくる。
あの時そんなこと言ったら、灰田くんと黒瀬さん、両方好きになっちゃった!?みたいなこと思っちゃうだろうに。
「だって自覚してないアンタに言ったところで戸惑うだけでしょ?言うだけ無駄」
「う〜・・・いじわる」
「親切心よ。ありがたく受け取りなさい」
憎らしげに私を見る伊吹に対して胸を張りながら腕を組む。
あの状態で言ったら伊吹の事だ、慌てていたはずだ。
そうならないようにわざと伝えなかった私の優しさだ。
「もう・・・」
「伊吹ちゃん、お待たせ」
「あ、黒瀬さん!」
伊吹が拗ね始めた時、待っていた黒瀬さんが現れた。
黒瀬さんが現れた瞬間、嬉しそうな顔を浮かべる伊吹。
幸せそうな顔しちゃって・・・全く。
「それじゃ、私行くね!」
「ハイハイ、じゃーね」
黒瀬さんと一緒に帰る伊吹に手を振り、2人の背中が小さくなっていって振り返ることがないだろうと判断した時、後ろを振り返って銅像のある所を見た。
「もういいわよ、灰田くん」
そう声をかけると、結構前から隠れていた灰田くんが銅像の陰から姿を現す。
そして、私の方に近寄ってきた。
「・・・黒瀬さんと伊吹さん、付き合ったんですね」
「そうみたいよ」
伊吹達が歩いていった方に視線を向けている灰田くんの表情はどこか浮かない顔をしていた。
その表情は伊吹に好意があると言わんばかりの顔で・・・少しだけ、胸が痛む。
「・・・俺がもし、伊吹さんが動くのを待たずにアプローチしてたら・・・勝ち目あったんですかね・・・」
姿が見えなくなっても伊吹達が立ち去った方を見つめながら呟く灰田くん。
その表情は失恋をしたと言わんばかりで・・・私まで苦しくなってくる。
「何言ってんの。他の誰よりもあったわよ。これは待つ選択をしたアンタが悪いわね」
「・・・そーっすね・・・自分でもそう思います」
「・・・今日部活ないんでしょ。カフェでも行く?話聞くよ」
「・・・アザッス、つぐみさん。」
悲しそうな笑顔を見せながら2人で近くのカフェへと向かう。
その最中も、灰田くんは浮かない顔をしていた。