略奪☆エルダーボーイ

陸くんに告白した翌日──



帰り際に伊吹に相談をすることにした。



本当なら自分で解決するつもりだったけど・・・黒瀬さんと陸くん、どちらに転んでも両想いになっていた伊吹に聞いてもらいたかった。



「つぐみ、相談って?」



「・・・あのね・・・私、昔から陸くんのことが好きでさ・・・」



気恥しさを感じながらも、口を開く。



伊吹に相談された時にも口に出さなかった思いを口にすると、なんか心が軽くなったように感じる。



「え?じゃあ・・・私が灰田くんのこと相談した時も・・・?」



「・・・うん」



「えっ・・・なんか悪いことしちゃったかな・・・ごめんつぐみ、私気付かなくて・・・」



「あ、それは気にしないで。あの時は陸くんとどうこうなるつもりなかったし・・・ 」



私の言葉を聞くなり、口に手を当てて申し訳なさそうにしている伊吹。



そんな彼女に手を振って気にしないように伝える。



本当、あの時はどうこうなるつもり無かったんだ。



この気持ちを伝えることも、考えてなかったし。



「あの時はって事は・・・今は違うの?呼び方も変わったし」



「・・・伊吹、そういう所だけ鋭いよね・・・うん、違う。告白したの」



「えっ!?本当!?返事は!?」



グイグイと聞いてくる伊吹に観念して告白したことを伝える。



すると、返事の有無を聞かれる。



返事・・・かぁ・・・。



考えてくれてはいるみたいだけど、諦めてるんだよな。



「考えてくれてるみたい。でも、半分諦めてるの」



「え?どうして・・・」



「陸くん、好きな人がいて・・・失恋したばかりだから。その人と比べると私平凡な顔してるし、肌も綺麗じゃないから、太刀打ちできないなって」



言葉を濁しながら起きたことを伝える。



その好きな人は伊吹なんだよ、とは言えないけど・・・。



「別に比べなくていいんじゃないかな。つぐみにはつぐみのいい所があるんだし、そこをアピールすれば」



「・・・良いところ?」



私の悪い所ならすぐにでてくるけど、いい所なんて全く出てこない。



私なんかにいい所なんて・・・。



「真っ直ぐで、面倒見が良くて・・・笑顔が可愛い所、とかね」



「おだてても何も出ないよ?私の笑顔なんて可愛くないし」



ウインクをしながら話してくる伊吹に思わず反論する。



私は歯並びが悪い。



だから、笑うと歯並びの悪さが際立ってしまう。



八重歯が可愛いとは言われるけど・・・自分的には嫌いな所だ。




「本心だよ。ていうか、前に私の卑屈な所どーにかしなさいって言ってたけど・・・つぐみも大概だと思うよ?」



「うっ・・・そ、それは・・・そうかもしれないけど・・・」



確かに前にウジウジしている伊吹に言ったことがある。



まさかブーメランになっているとは思っていなかった。



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