一匹オオカミくんと、今日も、屋上で
高校に入学して半年が過ぎた。
入学して数日はギクシャクしていた教室内も、半年が経つとまるでその場所に最初からいたような気さえしてしまうほどの、馴染みがあるものに変わっていた。
友達もできた。
けれど、女子の間で繰り広げられる恋愛トークに未だについていけずにいた。
恋愛話となると、もっぱら聞き役の私に、
「あっこはまだ好きな人いないんだっけ?」
休み時間、友人の七海蘭はポッキーをポリポリと食べながら私の顔を覗き込み質問をした。
「うん、そういうのよくわからなくて」
「この人いいなぁ、気になるなぁ、もっと話したいとかいう人もいなかったの?」
「うん。友達って感じ。蘭はいつ頃から男子を意識し始めたの?」
「小学校の中学年の時には普通に好きな人いたよ! 恋愛知らないなんて、あっこ人生損してる!」
蘭は「あっこ、顔かわいいのに、かわいそー」と言いながら残りのポッキーをポリポリと口に頬張っていた。
恋愛経験はないけれど今まで楽しく過ごしてきた。
自分で自分のことを可哀想と思ったとはない。
けれど、周りから見たら私は可哀想な人間なのだと、今、初めて知ってしまった。
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