生家で虐げられた令嬢は嫁ぎ先で溺愛スローライフを送ります
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「さて、改めてクロムスの父でクロイスト・アイラザルドだ。こちらは妻のソフィア・アイラザルド」
お義父様が紹介してくれて私も名乗る。
「お初にお目にかかります、クロムス様と結婚しシエラ・アイラザルドになりました。どうぞ至らぬところもありますが、よろしくお願いします」
そう挨拶すると、お二人はやっぱりとっても優しいお顔で見守ってくれている。
「祝典のために辺境からここまで来るのも大変だったわよね。こちらである程度準備はしているから、なにも心配ないわ」
お母様であれば皇宮へのドレスコード等もばっちり把握されているので心配ない。
私は準備が済んでいることにホッとした。
お茶をしながら、家族団らんで過ごしていると丸まっていたアイラが上空をにらみ始めた。
お茶しつつ観察していた私は、その変化に気づきクロムス様に声をかける。
「クロムス様、アイラが空を気にしています。なにかあるのでしょうか?」
私の問いかけに、クロムス様とクロイストお父様が反応する。
「んん?ワイバーンが飛んでくるな。緑のワイバーンだ」
そうそうワイバーンが空を飛んでは叶わないだろこと、緑色と聞けばそれはきっとセルゲン様のワイバーンのオーロである。
「多分、先月お会いした大司祭長様のワイバーンではないかと思うのですが」
私の言葉にクロイストお父様もクロムス様も結構まだ遠い空のワイバーンを認識できるのだから、かなり目が良いということだろう。
庭に降り立ったのはやはりオーロで、アイラに挨拶するもアイラはつんとそっぽ向いて冷たい。
オーロはややしょんぼりしているので、私はサロンから出てオーロに声をかけた。
「オーロ!久しぶりね。元気だった?」
私の声が聞こえるとオーロは「クルルルル。キュル」と返事をする。
「良かった、元気だったのね。相変わらず、つやつやの素敵な鱗ね」
私が撫でている間に、オーロの背からは大司祭長様が降りて来た。
「シエラ様、お久しぶりでございます。アイラザルド辺境伯に、クロイスト様にソフィア様、突然の訪問お許しください。皇都の門をくぐったと知った皇帝が動き出しそうな気配を見せておりますので、先にお知らせに参りました」
いや、ほんと顔合わせは祝典の前にと話をつけて三日後の予定なのに、なぜ唐突に来ようとするのか。
いきなり来られても困るでしょうに。
私の隣に来たリルが光る。
精霊王、ウィンガルム様が宿った瞬間だ。
『なに、ここにはすでに簡単には入れんのだ。なんの心配もいらぬよ。それでもよく知らせに来てくれたな、セルゲン』
ウィンガルム様の言葉に、セルゲン様は頭を下げて告げる。
「シエラ様には隠し事は出来ません。ですが、警戒していなければ気づけないこともあるかと馳せ参じました」
精霊王であるウィンガルムはすべての精霊の王。
精霊はそこかしこにいるので、人間の悪事は大抵見られていて、私には精霊を介して筒抜けになる。
それが分かっていないゆえの行動だなと思う。
精霊が気付けば、歓迎されていない相手が会えるわけがないのにね。
『セルゲンとオーロはいつでも歓迎だから、なにかあればここに来ればいい』
そう告げると、今回はすぐにウィンガルムは戻っていった。
お義父様が紹介してくれて私も名乗る。
「お初にお目にかかります、クロムス様と結婚しシエラ・アイラザルドになりました。どうぞ至らぬところもありますが、よろしくお願いします」
そう挨拶すると、お二人はやっぱりとっても優しいお顔で見守ってくれている。
「祝典のために辺境からここまで来るのも大変だったわよね。こちらである程度準備はしているから、なにも心配ないわ」
お母様であれば皇宮へのドレスコード等もばっちり把握されているので心配ない。
私は準備が済んでいることにホッとした。
お茶をしながら、家族団らんで過ごしていると丸まっていたアイラが上空をにらみ始めた。
お茶しつつ観察していた私は、その変化に気づきクロムス様に声をかける。
「クロムス様、アイラが空を気にしています。なにかあるのでしょうか?」
私の問いかけに、クロムス様とクロイストお父様が反応する。
「んん?ワイバーンが飛んでくるな。緑のワイバーンだ」
そうそうワイバーンが空を飛んでは叶わないだろこと、緑色と聞けばそれはきっとセルゲン様のワイバーンのオーロである。
「多分、先月お会いした大司祭長様のワイバーンではないかと思うのですが」
私の言葉にクロイストお父様もクロムス様も結構まだ遠い空のワイバーンを認識できるのだから、かなり目が良いということだろう。
庭に降り立ったのはやはりオーロで、アイラに挨拶するもアイラはつんとそっぽ向いて冷たい。
オーロはややしょんぼりしているので、私はサロンから出てオーロに声をかけた。
「オーロ!久しぶりね。元気だった?」
私の声が聞こえるとオーロは「クルルルル。キュル」と返事をする。
「良かった、元気だったのね。相変わらず、つやつやの素敵な鱗ね」
私が撫でている間に、オーロの背からは大司祭長様が降りて来た。
「シエラ様、お久しぶりでございます。アイラザルド辺境伯に、クロイスト様にソフィア様、突然の訪問お許しください。皇都の門をくぐったと知った皇帝が動き出しそうな気配を見せておりますので、先にお知らせに参りました」
いや、ほんと顔合わせは祝典の前にと話をつけて三日後の予定なのに、なぜ唐突に来ようとするのか。
いきなり来られても困るでしょうに。
私の隣に来たリルが光る。
精霊王、ウィンガルム様が宿った瞬間だ。
『なに、ここにはすでに簡単には入れんのだ。なんの心配もいらぬよ。それでもよく知らせに来てくれたな、セルゲン』
ウィンガルム様の言葉に、セルゲン様は頭を下げて告げる。
「シエラ様には隠し事は出来ません。ですが、警戒していなければ気づけないこともあるかと馳せ参じました」
精霊王であるウィンガルムはすべての精霊の王。
精霊はそこかしこにいるので、人間の悪事は大抵見られていて、私には精霊を介して筒抜けになる。
それが分かっていないゆえの行動だなと思う。
精霊が気付けば、歓迎されていない相手が会えるわけがないのにね。
『セルゲンとオーロはいつでも歓迎だから、なにかあればここに来ればいい』
そう告げると、今回はすぐにウィンガルムは戻っていった。