生家で虐げられた令嬢は嫁ぎ先で溺愛スローライフを送ります
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本宮の謁見の間に到着すると、部屋の前の護衛騎士が謁見の間中にいる陛下たちに私たちがに到着したことを告げる。
「アイラザルド辺境伯、アイラザルド辺境伯夫人、前アイラザルド辺境伯夫妻がご到着しました」
そう告げて、謁見の間の扉が開かれる。
そこには皇帝とその家族が揃っているようで、私はクロムス様にエスコートされるまま所定の位置まで進むと一応カーテシーをする。
三日前に大司祭長様が来た際に、愛し子は頭を下げる必要はないのでそのままでもいいとは聞いたけれど。
初回顔合わせなので一応ね、あんまりにも対応が良くないときはリルに移ってウィンガルム様が突っ込んでくるので、それは避けたいところだけれど。
お姉様を招いている時点で私の中ではダメだなと思っているので、騒動無しの望みは薄いかもしれない。
ここでは、愛し子である私が先に話してもいいけれど、とりあえずお声がけを待つことにする。
「頭を上げよ。お初にお目にかかる、今代の精霊の愛し子よ。私が皇帝のフェリザルディードである」
陛下の挨拶に、私は軽くカーテシーの姿勢を緩めると言葉を返した。
「本日はお招きいただきありがとうございます。アイラザルド辺境伯夫人、シエラ・アイラザルドにございます」
さて、皇帝陛下はお義父様と同じ年で貴族学園時代からのお知り合いだと聞いている。
「陛下、うちの嫁を本気でここまで呼び出すのはどうかと思って、今回付いてきたんだが。お前、精霊の愛し子に関してちゃんと学んでいるのか?」
お義父様!! めちゃめちゃ直球ぶちこんでませんか?
まぁ、それくらいしても良いらしいことは大司祭長のセルゲン様も言っていたけれども。
「愛し子は国の繁栄を約束する、精霊に愛された存在だろう?今回は二百年以上ぶりの精霊の愛し子誕生に教会も大喜びだ。皇帝である私としてもありがたいと」
そんな返事にお義父様は大きなため息をついて、苦言を呈した。
「全然、学んでないし情報が足りていない。精霊の愛し子は愛し子自身の幸せを精霊と妖精に一心に願われている存在で、彼女の幸せが国に恵みをもたらす。彼女が望まないことを強いる者のもとには恵みは一切起きない。わかるか?」
お義父様の言葉に皇帝陛下は言葉を理解すると、顔色を悪くした。
「彼女が会いたくないから、皇宮内には招かないようにお願いした姉を招き入れたらしいな?すでに精霊はその事態を把握しているし、部屋の出入りは封鎖されたよ」
その言葉は嘘偽りないが、部屋が封鎖されたことまでは把握できていなかった様子で侍従が確認に走らされた。
ほんの少しの間、だがそんな皇帝の隣で事を見守る皇妃殿下が問いかける。
「私は、繁栄と恵みの象徴であるとしか聞いていなかったのですが。精霊様の愛を一身に受ける者にもしも望まぬことを強いた場合は、どうなるのですか?」
皇妃様は他国から嫁いだので、皇国の愛し子についてはあまり知らなかったらしい。
それを踏まえてか、ため息をつきつつお義父様は話をした。
「ここに嫁いで三十年になるというのに、まだご存じでないと。精霊の愛し子に望まぬことを強いる者は、精霊の力を借りれなくなるのでまず魔法が使えなくなり、その地の植物は枯れますよ」
「アイラザルド辺境伯、アイラザルド辺境伯夫人、前アイラザルド辺境伯夫妻がご到着しました」
そう告げて、謁見の間の扉が開かれる。
そこには皇帝とその家族が揃っているようで、私はクロムス様にエスコートされるまま所定の位置まで進むと一応カーテシーをする。
三日前に大司祭長様が来た際に、愛し子は頭を下げる必要はないのでそのままでもいいとは聞いたけれど。
初回顔合わせなので一応ね、あんまりにも対応が良くないときはリルに移ってウィンガルム様が突っ込んでくるので、それは避けたいところだけれど。
お姉様を招いている時点で私の中ではダメだなと思っているので、騒動無しの望みは薄いかもしれない。
ここでは、愛し子である私が先に話してもいいけれど、とりあえずお声がけを待つことにする。
「頭を上げよ。お初にお目にかかる、今代の精霊の愛し子よ。私が皇帝のフェリザルディードである」
陛下の挨拶に、私は軽くカーテシーの姿勢を緩めると言葉を返した。
「本日はお招きいただきありがとうございます。アイラザルド辺境伯夫人、シエラ・アイラザルドにございます」
さて、皇帝陛下はお義父様と同じ年で貴族学園時代からのお知り合いだと聞いている。
「陛下、うちの嫁を本気でここまで呼び出すのはどうかと思って、今回付いてきたんだが。お前、精霊の愛し子に関してちゃんと学んでいるのか?」
お義父様!! めちゃめちゃ直球ぶちこんでませんか?
まぁ、それくらいしても良いらしいことは大司祭長のセルゲン様も言っていたけれども。
「愛し子は国の繁栄を約束する、精霊に愛された存在だろう?今回は二百年以上ぶりの精霊の愛し子誕生に教会も大喜びだ。皇帝である私としてもありがたいと」
そんな返事にお義父様は大きなため息をついて、苦言を呈した。
「全然、学んでないし情報が足りていない。精霊の愛し子は愛し子自身の幸せを精霊と妖精に一心に願われている存在で、彼女の幸せが国に恵みをもたらす。彼女が望まないことを強いる者のもとには恵みは一切起きない。わかるか?」
お義父様の言葉に皇帝陛下は言葉を理解すると、顔色を悪くした。
「彼女が会いたくないから、皇宮内には招かないようにお願いした姉を招き入れたらしいな?すでに精霊はその事態を把握しているし、部屋の出入りは封鎖されたよ」
その言葉は嘘偽りないが、部屋が封鎖されたことまでは把握できていなかった様子で侍従が確認に走らされた。
ほんの少しの間、だがそんな皇帝の隣で事を見守る皇妃殿下が問いかける。
「私は、繁栄と恵みの象徴であるとしか聞いていなかったのですが。精霊様の愛を一身に受ける者にもしも望まぬことを強いた場合は、どうなるのですか?」
皇妃様は他国から嫁いだので、皇国の愛し子についてはあまり知らなかったらしい。
それを踏まえてか、ため息をつきつつお義父様は話をした。
「ここに嫁いで三十年になるというのに、まだご存じでないと。精霊の愛し子に望まぬことを強いる者は、精霊の力を借りれなくなるのでまず魔法が使えなくなり、その地の植物は枯れますよ」