生家で虐げられた令嬢は嫁ぎ先で溺愛スローライフを送ります
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「先にサロンに移動しましょうか? サロンのほうが庭に面した大窓があるから成獣様も室内に入りやすいでしょう?」
そんな皇妃様の提案で、私たちは早めにサロンへと移る。
サロンには話してくれたように大窓が庭に面した作りなっており、外の様子がよくわかる。
そしてその外にはぐんぐんと空駆ける姿が迫ってくる様子が見えており、もうすぐリルが到着する様子が見えた。
「お庭に出てもいいでしょうか?」
私が皇妃様に尋ねると、もちろん大丈夫との回答をいただき私は窓から庭に出てリルの到着を待つ。
近づくリルはキラキラしており、これは間違いなくウィンガルム様のほうだと気づく。
「シエラ、出迎えてくれてありがとう。嫌なことはなかったか?」
ウィンガルム様はまず、そんな確認から入るのでよっぽど心配していたみたい。
「大丈夫でしたよ。皇太子殿下がよくご理解していらして、私の好きなように過ごしていいとおしゃってくださいました」
私の返事に安心したようにほっとした様子を見せると、クロムス様がやってきてウィンガルム様に声をかける。
「ウィンガルム様、サロンに入れるようにしていただけましたから話はそこで」
「うむ、そうするかのう」
そんな話をしつつ、ウィンガルム様は大型狼のサイズになってサロンに入ってくれた。
さすが、気遣いのできる精霊王である。
「初めまして、精霊の王。ラザシュタイン皇国の皇帝フェリザルディードと申します」
「精霊王様、皇太子のキースディルドでございます」
皇帝と皇太子がそろってかしこまる相手は、精霊王くらいかもしれないね。
膝こそつかないものの、頭を下げている。
「うむ。我が精霊王ウィンガルムである。此度の愛し子は、なかなか過酷な状況だった故、もうすぐで国を枯らすところだったが、ぎりぎりの回避であったな」
そんなウィンガルムの言葉に皇帝陛下も皇太子もぎょっとしている。
「生家でのシエラの扱いは聞いておらんのか?あれは継子だとしても、やっていいことではない。精霊や妖精たちのお節介がなければ数年前に餓死の危機にあった」
さすがにそこまでひどいと思っていなかった皇族の面々にクロムス様の両親も内容を聞いて驚いている。
しかしそれも、皇太子殿下だけは少し納得の表情を見せる。
皇都の異変にも気づいていた皇太子殿下だからかな。
「皇都の植物が育たなかったのは、愛し子が過酷な環境にいたからですか?」
それにウィンガルム様は答えた。
「愛し子が幸せではなかったからだな。いつもひもじくて、愛情をもらえない子どもを哀れと言わずなんとする?」
その言葉に、部屋の大人たちは言葉をなくすしかない。
「妖精や精霊がいつも持ってきてくれる果実がなければ、確かにとっくに飢えていたでしょうね。私、今も小さめのままだし」
苦笑しつつ話せば、皇妃様もようやく私の年齢と背丈の違和感に気づいた様子だった。
そんな皇妃様の提案で、私たちは早めにサロンへと移る。
サロンには話してくれたように大窓が庭に面した作りなっており、外の様子がよくわかる。
そしてその外にはぐんぐんと空駆ける姿が迫ってくる様子が見えており、もうすぐリルが到着する様子が見えた。
「お庭に出てもいいでしょうか?」
私が皇妃様に尋ねると、もちろん大丈夫との回答をいただき私は窓から庭に出てリルの到着を待つ。
近づくリルはキラキラしており、これは間違いなくウィンガルム様のほうだと気づく。
「シエラ、出迎えてくれてありがとう。嫌なことはなかったか?」
ウィンガルム様はまず、そんな確認から入るのでよっぽど心配していたみたい。
「大丈夫でしたよ。皇太子殿下がよくご理解していらして、私の好きなように過ごしていいとおしゃってくださいました」
私の返事に安心したようにほっとした様子を見せると、クロムス様がやってきてウィンガルム様に声をかける。
「ウィンガルム様、サロンに入れるようにしていただけましたから話はそこで」
「うむ、そうするかのう」
そんな話をしつつ、ウィンガルム様は大型狼のサイズになってサロンに入ってくれた。
さすが、気遣いのできる精霊王である。
「初めまして、精霊の王。ラザシュタイン皇国の皇帝フェリザルディードと申します」
「精霊王様、皇太子のキースディルドでございます」
皇帝と皇太子がそろってかしこまる相手は、精霊王くらいかもしれないね。
膝こそつかないものの、頭を下げている。
「うむ。我が精霊王ウィンガルムである。此度の愛し子は、なかなか過酷な状況だった故、もうすぐで国を枯らすところだったが、ぎりぎりの回避であったな」
そんなウィンガルムの言葉に皇帝陛下も皇太子もぎょっとしている。
「生家でのシエラの扱いは聞いておらんのか?あれは継子だとしても、やっていいことではない。精霊や妖精たちのお節介がなければ数年前に餓死の危機にあった」
さすがにそこまでひどいと思っていなかった皇族の面々にクロムス様の両親も内容を聞いて驚いている。
しかしそれも、皇太子殿下だけは少し納得の表情を見せる。
皇都の異変にも気づいていた皇太子殿下だからかな。
「皇都の植物が育たなかったのは、愛し子が過酷な環境にいたからですか?」
それにウィンガルム様は答えた。
「愛し子が幸せではなかったからだな。いつもひもじくて、愛情をもらえない子どもを哀れと言わずなんとする?」
その言葉に、部屋の大人たちは言葉をなくすしかない。
「妖精や精霊がいつも持ってきてくれる果実がなければ、確かにとっくに飢えていたでしょうね。私、今も小さめのままだし」
苦笑しつつ話せば、皇妃様もようやく私の年齢と背丈の違和感に気づいた様子だった。