どこにもいかないで
寂しいよ。
寂しくて、オレ、気持ちが折れそうになる。
心が押しつぶされそうになるくらい、きみが恋しくてたまらないんだ。
澪。
……いつか。
いつか、この恋しい気持ちは。
薄れていくんじゃないかって思うと。
怖くて仕方ない。
いつの間にか。
頬に涙が落ちていて。
バス停でひとり泣いている自分を思うと、恥ずかしくなって。
顔が一気に赤くなった気がした。
駒澤くんがここにいたら。
きっと不器用な言葉で。
一生懸命に慰めてくれる気がする。
駒澤くんのこと、何にも知らないけれど。
……でも。
迷子の澪を放っておかず、家まで送り届けてくれた。
優しい人なんだって、オレは知っているんだよ、駒澤くん。
バス停から離れて。
山に背を向けて。
家に向かって歩き出す。
涙は、止まらない。
道行く人が、
「ちょっと、大丈夫?」
と、尋ねてくれる。