どこにもいかないで
「どうしたの?」
母さんのそばに行くと、
「滉、落ち着いて聞いてね」
と、オレの両肩をがっしり掴んだ。
「?」
「今、お父さんが自治会館に行ったけれど」
「うん、何?」
なんとなく、嫌な予感がした。
鼓動が速くなる。
「……あんたのクラスメイトに、失踪した子がいたでしょう? 駒澤くん」
「!!」
「駒澤くん、見つかったのよ」
「え!! 見つかった!? そっか、良かったじゃん!!」
ホッと安心していると、母さんが俯いた。
「……見つかったの。山の中で、遺体で発見された」
目の前が暗くなって、ぐらついた気がした。