どこにもいかないで
「たか、高浜? だ、誰?」
と、むっちゃんは小声で言いながら、ひーちゃんを小突いている。
「私も聞きたい」
と、佐田さんもやって来た。
「えっ! 美人!! 誰!?」
むっちゃんがプチパニック状態で、今度はオレを見る。
「オレと同じクラスの佐田さん」
「佐田……、佐田さん……?」
なぜか佐田さんをじっと見ているむっちゃんに、ひーちゃんが、
「話、続けるからね」
と、励ますように言う。
オレと佐田さんは、むっちゃんとひーちゃんの座席から通路を挟んで隣に座った。
「猟師さん達で村の捜索隊を作ったのは知っていますか?」
ひーちゃんに、オレと佐田さんは首を振る。
「失踪者があまりに多くて、その人達は帰って来ないから、捜索隊を作ったんです。山で遭難しているんじゃないかって、はじめは思ったらしくて」
そこまで話したひーちゃんは、
「あの、いなくなった二年生と、お友達なんですか?」
と、尋ねてきた。