どこにもいかないで
「大丈夫だと思うよ。大勢いるんだから」
そう言って澪の顔を見ると、澪は真っ青な顔をして、
「お母さんは空腹だから」
と、言った。
「……わかっているじゃない、さすがは私の娘ね」
背後で、声がした。
ゆっくり、振り返る。
急激な緊張感に、再び吐きそうになる。
澪の母親が。
ニンマリと笑って、立っていた。
(……終わりだ)
その手に怪しく光る、刃物を見て。
オレの心臓が縮んだ。
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