どこにもいかないで

「息子?」
と、澪の母親は笑う。



「坂東さんっ!! あんたも冷静になりな!!」
と、他の捜索隊の人が叫ぶ。




そのことで。

この人は、失踪した隣のクラスのイケメン、坂東くんのお父さんなんだとわかった。




「息子があんたらに何をしたっていうんだ!! 返してくれ!! オレの息子を、オレ達家族に返せ!!」

「……あんたの息子のことなんて、覚えてないよ」
と、澪の母親は冷たい視線で答える。



「何だと!?」

「でも、そうだね。あんたも美味しそうではあるね。私のお腹の中で、息子と再会すればいい!!」



澪の母親は、坂東くんのお父さんに一直線に走って近づいた。



「このやろおぉぉおおおぉぉぉっっ!!!」



坂東くんのお父さんが叫んだと同時に。

部屋の中に複数の銃声が響いた。









煙がもくもくと。

部屋の中を漂っている。





何がどうなったのか、オレはすぐにはわからなかったけれど。

掠れた声で、澪が叫んだ。






「お母さんっ!!!」




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