どこにもいかないで

「高浜くん、どくんだ!! そいつを生かしていたら、また村人が犠牲になるんだ!!」

「どきません!」

「きみももう中学生ならわかるだろう!? こいつは、村にとって危険な存在なんだ!! きみのわがままに付き合ってはいられないんだ!!」



オレの背中で泣き崩れている澪が、
「……もう、もう、嫌」
と、呟く。




オレは澪を振り返り、
「大丈夫、オレがついているから」
と、励ます。



さっき。

オレのそばから離れて。

母親のもとへ行った澪。



裏切られたと、思った。




でも。




いいよ。

それでも、いいから。





オレと一緒にいようよ。

ここじゃないどこか遠くへ行って、ふたりで暮らそうよ。









「……もう、こんなの嫌!!」
と、澪が怒鳴った。

オレの背中を押して、自分の前からどけた。





それを合図に。

疋田さんの銃が。

パァンっと鳴った。



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