私の「光健士(ひかるけんし)」くん~社内で孤立の二十九歳主任を慕い、ひたすら尽くして応援する十八歳のアルバイトくん

危険な目撃者

「須藤さん、見たよな。間違いなくセクハラだ」

 山崎とみなみの視線はコーポの一階にある恭子の家のドアに向けられている。ふたりはずっと恭子の自宅を見張っていたのだ。

「無理矢理、アルバイトの子を家に連れ込んだ図式だな。あの少年、泣いていた」
「確かに泣いてたのはおかしいよね。でもほかの理由かも……」
「セクハラに決まってるだろう」

 イケメンの山崎の断言に、みなみはそれ以上、反論しなかった。
 確かに健士は悲しんでいた。憧れの女性(ひと)の恭子から離れたくなかったからだ。だが山崎とみなみが、健士に涙の理由を聞くことはないだろう。

「でもよく主任の自宅分かったじゃない。個人情報だから総務も簡単に教えてなんかくれないのに」
「松山さんが動いてくれたんだ。松山さんにはバックがいるからな。もうすぐ杉野のお説教、聞かずに済む」
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