私の「光健士(ひかるけんし)」くん~社内で孤立の二十九歳主任を慕い、ひたすら尽くして応援する十八歳のアルバイトくん
絶体絶命の恭子
翌日の朝は小雨模様。だが営業企画部第一グループの事務室には激しい雷雨が降り注いだ。山崎、須藤、三神の三人が恭子のデスクに、支給されていた源氏物語の本を置いた。山崎は叩きつけるように置いた。
「どういうことです、これは?」
「こんな本、何の役にも立ちません」
「私も読む気ないんです。すみません、処分したければしてください」
恭子は怒りをぐっと抑えて三人を見回す。
「説明が足りなかったなら、もう一度、説明します」
「要らねえよ。第一、あんたなんかの説明、聞く必要ないし……」
三人が顔を見合わせ、ニヤニヤ笑った。恭子は何が起こっているのか分からず、呆然と立ち尽くすばかりだった。
やがて事務室のドアが重々しい音を立てて開いた。高木総務部長、及川部長、そして一番後ろから松山が入ってきた。
「杉野さん、会議室に来て欲しい」
「どういうことです、これは?」
「こんな本、何の役にも立ちません」
「私も読む気ないんです。すみません、処分したければしてください」
恭子は怒りをぐっと抑えて三人を見回す。
「説明が足りなかったなら、もう一度、説明します」
「要らねえよ。第一、あんたなんかの説明、聞く必要ないし……」
三人が顔を見合わせ、ニヤニヤ笑った。恭子は何が起こっているのか分からず、呆然と立ち尽くすばかりだった。
やがて事務室のドアが重々しい音を立てて開いた。高木総務部長、及川部長、そして一番後ろから松山が入ってきた。
「杉野さん、会議室に来て欲しい」