私の「光健士(ひかるけんし)」くん~社内で孤立の二十九歳主任を慕い、ひたすら尽くして応援する十八歳のアルバイトくん

新たな希望に向かって

 大学進学をあきらめ、あちこち就職先を探しているときだった。高校近くの駅前で「あなたの広告会社」と看板のかかった三階建ての建物を見つけた。小さな会社なのは間違いない。けれども何だか気になって尋ねてみた。
 受付に大橋社長がわざわざ出てきて、応接室に案内してくれた。

「ここは大きな会社ではありません。街角を見てごらんなさい。埋もれている素晴らしいお店や会社がある。その人たちが世の中に知られるようにお手伝いをするのだから、これくらいの大きさがちょうどいいのですよ」

 広告マンらしくないロマンスグレーの紳士が穏やかに笑った。

「お願いです。私にもお手伝いさせてください」

 恭子は思わず、ソファから立ち上がっていた。

 それから十一年。今、恭子は営業企画部第一グループ主任である。自分の店、会社に誇りを持っている人たちの表情が好きだ。その人たちを応援したい。それは恭子がいつも考えていること……。
 だが……。
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