私の「光健士(ひかるけんし)」くん~社内で孤立の二十九歳主任を慕い、ひたすら尽くして応援する十八歳のアルバイトくん

思いがけない一言が……

 突然の十八歳の誕生日宣言。恭子は何と答えたらよいのか分からない。

「す、すみません。ガ、ガ、ガーターストッキング、とってもきれいです。ピッタリです」

 悲鳴のような叫び。健士の泣き出しそうな顔が一瞬だけ見えて、すぐに列車のドアは閉まった。
 今朝。恭子はガーターストッキングを替えてみた。いつものブラックからティアネイビー。ちょっとだけ女性の(あで)やかさを意識してみた。健士は気がついてくれた。恭子は前を向いて歩き出した。

(やっぱり単なる年の離れた「友だち」なんかじゃないような気がする。どうなんだろう)

 その答えを胸に秘めた十一歳年下の少年は、今はそばにはいない。彼の名前は日下健士(くさかけんし)
 

 
 
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