魔女さんとナイト
 それからはあっという間だった。

 尋常じゃない量の血を流し、自分の血のついた石をボールのように手の中で上下させながらにこやかに迫ってくる男。

 三人組はよっぽど怖かったに違いない。表情を引き攣らせながら、一目散に逃げ去った。

 流血男は彼らの姿を見届けると、もう一度言った。

「大丈夫ですか?」

 それはこっちのセリフだと思った。私は声も出せずに、ただ、うんうん、と頷くことしかできなかった。
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