魔女さんとナイト
「そんなことより!」

 気まずい空気を振り払うように、彼は早口で言った。

「今日は魔女さんにお礼がしたくて来たんです」

 魔女さん。
 その呼び方に、一気に警戒心が高まる。
 私が本当に魔女であることを、この人はどういうわけか知っている。
 必死で記憶を辿る。さっきの三人組が私を魔女と呼んだ? いや、思い出せない。知らないふりをしようか。

 考えている間に、彼は続けた。

「先日はドジ踏んだところを助けていただいて、ありがとうございました」

 その一言で、ようやく先日のことを思い出した。
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