処刑回避したい生き残り聖女、侍女としてひっそり生きるはずが最恐王の溺愛が始まりました
「私も、協力します!」

 意気込んで言うと、フローが肩に乗ってきた。

《うん。頼むよ、僕の巫女姫》
「うん!」

 微笑むと、フローも笑ってくれた。彼とはずっと一緒にいたのに、顔を見合わせるのは初めてで、なんだか不思議な気持ちになった。

「ところで、精霊石の見た目はどんなものなんだ?」

 ルークに問われ、アメリとフローは一生懸命身振りを加えて伝える。

「このくらいかなぁ、大きさは」

 アメリは親指と人差し指で輪を作って見せる。

《無色透明の、純度の高いフローライトだよ。でも今は呪いのせいで変色しているかもしれないなぁ》
「……その大きさなら」

 ルークはカーヴェル卿のことを思い出す。金のブローチのほかに、彼は珍しい指輪をつけていた。

「カーヴェル卿は大きな黒い指輪をつけていたな。ちょうど大きさはそのくらいだと思う」
「黒……ですか?」
「ああ。黒なのに透明という珍しい石だった。ブラックダイヤモンドかとも思ったのだが、そんな希少なものをあの大きさで手に入れるのは難しいだろうし、もしかするとあれが……」
《僕が見ればわかると思う。次にそいつに会えるのはいつ?》
「二週間後の夜会よ。そのためにダンスの練習をしていたんだもの」
《じゃあ、その時は僕も一緒に行くよ》

 ふたりと精霊は顔を見合わせ、誓う。

「絶対に、この国に平和を取り戻しましょう」

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