処刑回避したい生き残り聖女、侍女としてひっそり生きるはずが最恐王の溺愛が始まりました
テンバートン侯爵のタウンハウスは、王都の一等地にある。このあたりは高位貴族の屋敷が多い。一軒の敷地が広く、庭も大きいため、屋敷が点在しているといった印象だ。
侯爵の屋敷には、多くの馬車が並んでいた。入り口で順に下ろされ、馬車は馬車止めのほうへと案内されて行くらしい。
「行こう」
「はい」
ルークのエスコートで馬車から降り、アメリは屋敷を見上げる。
まるでお城みたいに大きな屋敷だ。屋敷中の明かりが惜しみなくつけられていて、人のざわめきが中から聞こえてくる。
「ルーク・レッドメイン・ボーフォート大公とお連れ様の入場です」
公王の登場に、会場は一気にざわついた。当初ルークに向けられていた視線は、徐々にアメリに向かい、周囲にざわめきが起こった。
『お連れ様はどちらの……』
『さあ、見たことのない方ですわね』
値踏みするような視線は、刃のようで。アメリは顔を上げられなかった。
「アメリ、怖気づくな」
「でも……」
やっとで出した声は震える。足もがくがくしてきた。ルークの腕に繋がって、ようやく立っているような状態だ。
ルークは手を伸ばし、アメリの髪を一筋掴むとキスをする。
「大丈夫。お前がこの場で一番綺麗だ」
周囲に再びざわめきが起こる。
「な……なっ」
「胸を張れ。お前は俺の隣に立つにふさわしい」
そんなはずはない。なのに、ルークにそう言われただけで、なぜだか顔を上げる勇気が出た。
多くの人と目が合う。その中でも、フェリシアが赤のドレスを着ていて、一番目立っていた。睨むように目を細めているので、もったいない。美人なのだから、笑ったほうが素敵だ。
「アメリ」
呼ばれてルークのほうを向くと、彼はアメリを見て優しく微笑んでいた。
多くの人が、ルークに視線を向けている。その中で彼はアメリを見ている。
その事実が恥ずかしくもうれしくて、心音が馬鹿みたいにうるさい。
「俺についてこい」
まるで魔法にかけられたみたいに、その言葉に足が前に一歩出た。
侯爵の屋敷には、多くの馬車が並んでいた。入り口で順に下ろされ、馬車は馬車止めのほうへと案内されて行くらしい。
「行こう」
「はい」
ルークのエスコートで馬車から降り、アメリは屋敷を見上げる。
まるでお城みたいに大きな屋敷だ。屋敷中の明かりが惜しみなくつけられていて、人のざわめきが中から聞こえてくる。
「ルーク・レッドメイン・ボーフォート大公とお連れ様の入場です」
公王の登場に、会場は一気にざわついた。当初ルークに向けられていた視線は、徐々にアメリに向かい、周囲にざわめきが起こった。
『お連れ様はどちらの……』
『さあ、見たことのない方ですわね』
値踏みするような視線は、刃のようで。アメリは顔を上げられなかった。
「アメリ、怖気づくな」
「でも……」
やっとで出した声は震える。足もがくがくしてきた。ルークの腕に繋がって、ようやく立っているような状態だ。
ルークは手を伸ばし、アメリの髪を一筋掴むとキスをする。
「大丈夫。お前がこの場で一番綺麗だ」
周囲に再びざわめきが起こる。
「な……なっ」
「胸を張れ。お前は俺の隣に立つにふさわしい」
そんなはずはない。なのに、ルークにそう言われただけで、なぜだか顔を上げる勇気が出た。
多くの人と目が合う。その中でも、フェリシアが赤のドレスを着ていて、一番目立っていた。睨むように目を細めているので、もったいない。美人なのだから、笑ったほうが素敵だ。
「アメリ」
呼ばれてルークのほうを向くと、彼はアメリを見て優しく微笑んでいた。
多くの人が、ルークに視線を向けている。その中で彼はアメリを見ている。
その事実が恥ずかしくもうれしくて、心音が馬鹿みたいにうるさい。
「俺についてこい」
まるで魔法にかけられたみたいに、その言葉に足が前に一歩出た。