あなたがお探しの巫女姫、実は私です。
「そのために精霊石をとりもどすんだろ? 俺に任せろ。お前もアメリも、絶対に守るから」
宣言すると気が楽になる。少なくともその誓いを守る間は、必要とされているような気がするからか。
フローも気が楽になったのか、声が明るくなる。
《ルークさ。アメリにも今みたいに言えばいいのに》
「はっ?」
《今、ちょっと格好良かったもん。そしたらアメリもさ、ルークのこと、好きになっちゃうんじゃないの? ははっ》
(もしかして、俺は精霊にからかわれているのか?)
ルークはドキマギしつつも、内心の動揺を悟られないように平静を装った。
「彼女は王族だということも、巫女姫だということも公言したくないと言っている。俺の気持ちは迷惑だろう」
《そうかなぁ。アメリだって、必要とされればうれしいんじゃないの? 人の価値って、自分だけじゃわからないからさ》
「そうかな」
ルークには、アメリが存外たくましく、めげないようにも見えるが。
「だが俺は、アメリが望むようにしてやりたい。巫女姫という立場が重いなら、隠したままでいさせればいい。代わりに俺が国を守る」
《その宣言する王は、初めてだね。……うん。ルークなら、アメリを任せてもいいかな》
フローはそう言うと、ふっと気配を消した。
「フロー?」
《パペットに戻る。力は温存しなきゃだから》
ルークは再び剣を持ち直す。
誰かを守るには、力がいる。そしてルークが持ち得る力は、この魔力と剣術だ。
後悔しないためには、強くなるしかない。だからルークは、剣を振り続けるのだ。
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