あなたがお探しの巫女姫、実は私です。
「逃げたぞ。追え」
テンバートン侯爵が言い、他の貴族議員が追う。
ルークは議席の机を盾にするようにしながら議場を走り回った。
「やれやれ。王ともあろう方が無様に逃げ回るとは。やはりルーク様には、王の資質がないかもしれませんね。皆様」
にっこりといやらしい微笑みをカーヴェル卿が浮かべた。
「そうだ。王には、巫女姫の器であるカーヴェル卿こそがふさわしい!」
騒ぎ出す議員たちの影から、ロバートが抜け出すのを見て、ルークはほっと息を吐いた。
* * *
ルークに追い出されてしまったので、アメリは一度部屋に戻った。
これ以上意地を張って仕事をしていても、ルークに怒られそうだ。
「フロー、いる?」
ベッドの上にパペットが置かれている。
アメリが入って来たことに気づいたのか、パペットはふわりと浮き上がって近づいて来た。
《アメリ、大丈夫かい? 昨日はごめん。君を守ってあげられなかった》
「やあね。そんなの私も一緒よ。フローこそ、ずいぶん力を取られちゃったんでしょう? 大丈夫?」
《なんとか? ルークが昨日のうちにパペットに戻してくれたから助かった》
やっぱりそうだったのだ。アメリはルークの機転に感謝した。
「ねぇ。昨日のことなんだけど、カーヴェル卿のあの指輪」
《ああ。あそこに力が吸い込まれていったよね。あれが精霊石だろうね》
フローが言うなら、もう間違いないだろう。
「でも色が黒かったよ?」
《ベリトの力で呪いがかけられているんだろう。フローライトが採掘すると石になってしまうのは、あれのせいだと思う》
「どうやったら解けるのかしら……」
フローとアメリはふたりで考え込む。
「精霊石は、フローライトなのよね?」
《うん。基本の性質は変わっていないはずだよ。今は、僕が力を吸い出すことができなくなってる。かつては双方向に行き来できた力が、こっちからとられるだけになっているって言えば伝わる?》
「うん。わかるわ」
テンバートン侯爵が言い、他の貴族議員が追う。
ルークは議席の机を盾にするようにしながら議場を走り回った。
「やれやれ。王ともあろう方が無様に逃げ回るとは。やはりルーク様には、王の資質がないかもしれませんね。皆様」
にっこりといやらしい微笑みをカーヴェル卿が浮かべた。
「そうだ。王には、巫女姫の器であるカーヴェル卿こそがふさわしい!」
騒ぎ出す議員たちの影から、ロバートが抜け出すのを見て、ルークはほっと息を吐いた。
* * *
ルークに追い出されてしまったので、アメリは一度部屋に戻った。
これ以上意地を張って仕事をしていても、ルークに怒られそうだ。
「フロー、いる?」
ベッドの上にパペットが置かれている。
アメリが入って来たことに気づいたのか、パペットはふわりと浮き上がって近づいて来た。
《アメリ、大丈夫かい? 昨日はごめん。君を守ってあげられなかった》
「やあね。そんなの私も一緒よ。フローこそ、ずいぶん力を取られちゃったんでしょう? 大丈夫?」
《なんとか? ルークが昨日のうちにパペットに戻してくれたから助かった》
やっぱりそうだったのだ。アメリはルークの機転に感謝した。
「ねぇ。昨日のことなんだけど、カーヴェル卿のあの指輪」
《ああ。あそこに力が吸い込まれていったよね。あれが精霊石だろうね》
フローが言うなら、もう間違いないだろう。
「でも色が黒かったよ?」
《ベリトの力で呪いがかけられているんだろう。フローライトが採掘すると石になってしまうのは、あれのせいだと思う》
「どうやったら解けるのかしら……」
フローとアメリはふたりで考え込む。
「精霊石は、フローライトなのよね?」
《うん。基本の性質は変わっていないはずだよ。今は、僕が力を吸い出すことができなくなってる。かつては双方向に行き来できた力が、こっちからとられるだけになっているって言えば伝わる?》
「うん。わかるわ」