あなたがお探しの巫女姫、実は私です。

エピローグ

 数日のうちに、今回の騒動に関わった人々の処罰がなされた。
 捕らえられたカーヴェル卿ことドウェインは、体の主導権をベリトに奪われていた間のことを偽りなく話してくれた。

 フローの予想は、だいたい当たっていたようだ。
 前王バートランドが金の採掘で大騒ぎしている頃、当時十四歳だったドヴェインは、体が弱く、寝込んでばかりだった。
 彼の望みは、健康な体で、《俺と契約すれば、健康な体にしてやる》という、悪魔の言葉に頷いた。体の自由を奪われるなんて、思いもせずに。
 ベリトはドウェインの体を得ると、もっと欲深な人間を探して、他国に渡った。
隣国のレッドメイン王国は守護結界のせいで入れず、さらに遠くの国へと向かう。しかし、彼が望むような、魔力があり欲深な魂はなかなか無かった。
 そのうちに、ベリトは呪ったはずの精霊石が力を取り戻していることに気づき、新たな楽しみを求めてボーフォート公国へとやって来たのだった。

「私は処刑ですか?」と、ドウェインは咳こもりながら言った。ベリトが去った彼の体は、以前のような虚弱なものに戻ってしまったのだ。

「一応裁判には掛けるが、貴殿の罪というにはあまりに気の毒だな」

 ルークはドウェインに王位継承権を主張しないと念書を書かせた上で、国外追放させる形で収めようと画策しているらしい。
 また、カーヴェル卿を導き入れたテンバートン侯爵には、所領の鉱山の国への返還、伯爵位への降格を言い渡した。
 娘のフェリシアともども、しばらくは自領で謹慎することとなりそうだ。
 

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