あなたがお探しの巫女姫、実は私です。

これは雑用に入りますか

 雑用係二日目の朝である。

《おはよー。アメリ》
「おはよう。フロー」

 アメリが身支度を整えている間、フローはパペット姿で元気に空中を動いている。

「そろそろ行くわよ。昨日みたいに見つかるのは勘弁してほしいから、今日はその姿で動き回るのは禁止ね」
《えー。でも一日じっとしているのは暇だしなぁ》
「少しなら、パペットから離れても大丈夫なんでしょう。適宜抜け出せばいいじゃない」

 フローがパペットに宿っているのは、そこに居れば力の消耗が少ないからだ。

《そうだなぁ。試しに今日は別行動してみようかな》

 光の球が飛び出ると、パペットは力を失ったようにパタリと床の上に落ちた。

「疲れて倒れちゃう前に戻って来てね」
《うん。そこまで遠くには行かないよ。アメリは、今日はどこにいるんだ?》
「ルーク様の部屋か、衣裳部屋か、執務室かな」
《わかった》

 執務室ではひとりになるタイミングもないだろうから、フローが動き出すのをひやひやするよりも別行動の方がいいだろう。
 アメリはフロ―がふわふわと浮かんで消えていくのを見送った。

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