あなたがお探しの巫女姫、実は私です。
使用人用の食堂で昼食を取ってから、アメリは二階にあるルークの執務室へと向かった。
部屋の前に立つ衛兵は、話を聞いていたのか、名前を言うと通してくれた。
「おや、君が雑用係かね」
中にいたのは、初老の補佐官だ。ひとりだけだから留守番役をしているのかもしれない。
「はい。アメリと言います」
「小さい頃からスレイド殿について回っていた子だな。覚えているよ。私はカール・アチソンだ」
彼は子爵で、古くから城勤めをしているらしい。歴史を学んでいて、三年前にルークの補佐官となったのだという。
「どうだい? 仕事は」
「まだなったばかりですから……。でも、衣装を選ぶのは楽しいです。ルーク様も嫌がらずに着てくださっているし」
「ルーク様は、少し頑ななところはあるが、信念を持ったいい君主だよ。理にかなっていると思えば、敵対する人間の話もちゃんと聞くしな。私も、前王朝では閑職にしかつけなかったものだが、国を理解するには歴史をないがしろにしてはならないと言われて、過分な職に就かせていただいた」
「そうなんですね」
カールは穏やかな話し方をするので、ついつい聞き入ってしまう。
しかし、アメリとしては仕事をしなければならない。
「あの、ルーク様がお戻りになる前に、軽く清掃してもよろしいでしょうか」
「おお、そうかい。では私は奥でおとなしくしていようかね」
窓辺に椅子を動かしているカールを横目に、アメリは雑巾を持ってきて机や椅子などを拭き始めた。
「手際がいいのう。お嬢ちゃん」
「ありがとうございます」
部屋の前に立つ衛兵は、話を聞いていたのか、名前を言うと通してくれた。
「おや、君が雑用係かね」
中にいたのは、初老の補佐官だ。ひとりだけだから留守番役をしているのかもしれない。
「はい。アメリと言います」
「小さい頃からスレイド殿について回っていた子だな。覚えているよ。私はカール・アチソンだ」
彼は子爵で、古くから城勤めをしているらしい。歴史を学んでいて、三年前にルークの補佐官となったのだという。
「どうだい? 仕事は」
「まだなったばかりですから……。でも、衣装を選ぶのは楽しいです。ルーク様も嫌がらずに着てくださっているし」
「ルーク様は、少し頑ななところはあるが、信念を持ったいい君主だよ。理にかなっていると思えば、敵対する人間の話もちゃんと聞くしな。私も、前王朝では閑職にしかつけなかったものだが、国を理解するには歴史をないがしろにしてはならないと言われて、過分な職に就かせていただいた」
「そうなんですね」
カールは穏やかな話し方をするので、ついつい聞き入ってしまう。
しかし、アメリとしては仕事をしなければならない。
「あの、ルーク様がお戻りになる前に、軽く清掃してもよろしいでしょうか」
「おお、そうかい。では私は奥でおとなしくしていようかね」
窓辺に椅子を動かしているカールを横目に、アメリは雑巾を持ってきて机や椅子などを拭き始めた。
「手際がいいのう。お嬢ちゃん」
「ありがとうございます」