処刑回避したい生き残り聖女、侍女としてひっそり生きるはずが最恐王の溺愛が始まりました
それから一時間ほど経ち、ルークがようやく最後の書類の束を補佐官に渡す。
「よし、これでいいな?」
「お疲れ様です、閣下!」
ルークは自分で肩を揉みながら立ち上がり、まだ本棚を見ていたアメリのそばへ来た。
「結局お前はなにをしていたんだ? 引き出しては戻して」
「タイトルを覚えようと思いまして。今後も執務室でお手伝いをするのなら、言われたものをすぐに持ってこれるようになりたくて」
ルークは虚を突かれたような顔をして、口を開けようとしたが、先にジャイルズ伯爵がアメリの背中をたたいた。
「素晴らしいぞ、アメリ。それこそ、閣下にお仕えする者として正しい心構えだ。君は侍女に向いているんじゃないか?」
「メイド長の受け売りですよ。私たちの仕事は、主君が過ごしやすい環境を作ることだと教えてもらったんです」
「……そうか」
ルークの口もとが少し緩んで、優しい表情になる。
「だが今日はもういい。俺も仕事は終わりだ。こっちに座ってくれ」
「こっちとは」
「ここだ」
指し示されたのはソファで、ルークはその対面にさっさと座ってしまう。
しかし、ソファに向かい合って座るというのは、公王とメイドの距離感ではないと思うのだが、と躊躇していると、「早く!」と急かされてしまった。
「はいっ、失礼しました」
ルークは腕を組んだまま目をすがめて、アメリをじっと見つめた。
「さっきのパペット、もう一度見せてみろ」
「え?」
予想外な言葉に驚きながら、アメリは恐る恐るポケットからパペットを取り出した。
「ど、どうぞ」
ルークは検分するようにそのパペットを触り、手を突っ込んだりしている。
「ふむ、ここに指が入るようになっているのか」
「そうです。頭の所にも入ります。三本の指で動かす感じですね」
アメリが手で動作を示して見せると、ルークは真似をするように動かし、パペットの頭がぴょこりと下げられた。
「よし、これでいいな?」
「お疲れ様です、閣下!」
ルークは自分で肩を揉みながら立ち上がり、まだ本棚を見ていたアメリのそばへ来た。
「結局お前はなにをしていたんだ? 引き出しては戻して」
「タイトルを覚えようと思いまして。今後も執務室でお手伝いをするのなら、言われたものをすぐに持ってこれるようになりたくて」
ルークは虚を突かれたような顔をして、口を開けようとしたが、先にジャイルズ伯爵がアメリの背中をたたいた。
「素晴らしいぞ、アメリ。それこそ、閣下にお仕えする者として正しい心構えだ。君は侍女に向いているんじゃないか?」
「メイド長の受け売りですよ。私たちの仕事は、主君が過ごしやすい環境を作ることだと教えてもらったんです」
「……そうか」
ルークの口もとが少し緩んで、優しい表情になる。
「だが今日はもういい。俺も仕事は終わりだ。こっちに座ってくれ」
「こっちとは」
「ここだ」
指し示されたのはソファで、ルークはその対面にさっさと座ってしまう。
しかし、ソファに向かい合って座るというのは、公王とメイドの距離感ではないと思うのだが、と躊躇していると、「早く!」と急かされてしまった。
「はいっ、失礼しました」
ルークは腕を組んだまま目をすがめて、アメリをじっと見つめた。
「さっきのパペット、もう一度見せてみろ」
「え?」
予想外な言葉に驚きながら、アメリは恐る恐るポケットからパペットを取り出した。
「ど、どうぞ」
ルークは検分するようにそのパペットを触り、手を突っ込んだりしている。
「ふむ、ここに指が入るようになっているのか」
「そうです。頭の所にも入ります。三本の指で動かす感じですね」
アメリが手で動作を示して見せると、ルークは真似をするように動かし、パペットの頭がぴょこりと下げられた。