あなたがお探しの巫女姫、実は私です。
「そうなんだよ。私も妻も、一生ルーク様について行くと誓ったものだ」
「もう少し詳しく聞きたいです」

 ワクワクしすぎてそう言ったら、調子に乗るなと怒られた。

「ロバート、お前はなんのためにアメリにこんな話をしたんだ?」
「はっ、そうだ。なにも俺は惚気たかったわけではないのです」

 それは嘘だ、とアメリもおそらくルークも思っただろうが黙っておく。

「ルーク様がいる場所で言うのは気が引けますが、私はルーク様にも幸せになってほしいのです。だから、今アメリがルーク様にとって居心地のいい空間を作ってくれていることに感謝する、と言いたかったのですよ」
「ジャイルズ伯爵様……」

 なんだかんだ、ここまで自分のことを思ってくれる人がいるというのは幸せなことだ。

「ルーク様の幸せは、きっとジャイルズ伯爵様が守って来たんですね」

 アメリが本心から言うと、ふたりに同時にぎょっとされる。

「なぜだ。どうしていつもこの結論に帰着するんだ!」
「だから私は男色ではないとあれほど……。いいか、アメリ。俺には愛する妻がいて……」

 あまりに慌てふためくものだから、笑ってしまう。

「あははっ。そうじゃなくて、自分を心配してくれる人がいるってことは幸せだってことですよ」

 人を寄せ付けないようにしていたとしても、ルークはきっと孤独ではなかった。
 ジャイルズ伯爵が彼のそばにいてくれてよかったと、アメリは本気で思ったのだ。
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