あなたがお探しの巫女姫、実は私です。
* * *
「お帰りなさいませ、ルーク様」
午前中に私室のベッドメイクを終え、執務室を片付けていたアメリは、準備万端整えてルークを待っていた。
「ああ。ただいま」
ルークはなぜかアメリをじっと見つめる。あまりに凝視されるので、顔にインクでも付いているのではないかと心配してしまった。
「どうかしましたか? 私、なにかおかしいです?」
「いや。……疲れているのかもしれない。茶をもらえるか」
「はい!」
その後も、なぜかルークの視線を感じて落ち着かない。
アメリがポットを持って扉に向かうと、補佐官のひとりであるニコラスが声をかけてきた。
「アメリ、お湯を取りに行くんだろ? 俺も書類を届けに行くんだ。一緒に行って持ってやるよ」
「まあ、すみません」
「いいよ。ついでだから」
お湯は重いので持ってもらえるのなら助かる。アメリは彼の申し出を受け入れ、一緒に執務室から出た。
「先に書類を置いてくる。終わったら厨房に行くから待ってて」
「はい。ありがとうございます」
ニコラスが二階の別の部屋に向かう間に、アメリは一階へと降りる。不意に、天井の光がチカチカと点滅しているように見えた。目をこらして見ると、吹き抜け部分から光がよろよろと蛇行しながら降りて来る。
「フロー? どうしたの?」
《あいつがいた。やばい》
「あいつって誰?」
《うー。力が奪われて……すごく眠い。アメリ、パペットに戻らせて》
そう言うなり、フローはエプロンのポケットの中に吸い込まれていった。
「フロー?」
その後は呼びかけても応答はない。
「フローったら、どうしちゃったのかしら」
いつもと様子が違ったことが気になるけれど、もう眠ってしまったのかつついても反応が無いので確かめようもない。
「アメリ、お待たせ」
そのうちにニコラスが追い付いてきて、アメリの意識はフローから離れてしまった。
「お帰りなさいませ、ルーク様」
午前中に私室のベッドメイクを終え、執務室を片付けていたアメリは、準備万端整えてルークを待っていた。
「ああ。ただいま」
ルークはなぜかアメリをじっと見つめる。あまりに凝視されるので、顔にインクでも付いているのではないかと心配してしまった。
「どうかしましたか? 私、なにかおかしいです?」
「いや。……疲れているのかもしれない。茶をもらえるか」
「はい!」
その後も、なぜかルークの視線を感じて落ち着かない。
アメリがポットを持って扉に向かうと、補佐官のひとりであるニコラスが声をかけてきた。
「アメリ、お湯を取りに行くんだろ? 俺も書類を届けに行くんだ。一緒に行って持ってやるよ」
「まあ、すみません」
「いいよ。ついでだから」
お湯は重いので持ってもらえるのなら助かる。アメリは彼の申し出を受け入れ、一緒に執務室から出た。
「先に書類を置いてくる。終わったら厨房に行くから待ってて」
「はい。ありがとうございます」
ニコラスが二階の別の部屋に向かう間に、アメリは一階へと降りる。不意に、天井の光がチカチカと点滅しているように見えた。目をこらして見ると、吹き抜け部分から光がよろよろと蛇行しながら降りて来る。
「フロー? どうしたの?」
《あいつがいた。やばい》
「あいつって誰?」
《うー。力が奪われて……すごく眠い。アメリ、パペットに戻らせて》
そう言うなり、フローはエプロンのポケットの中に吸い込まれていった。
「フロー?」
その後は呼びかけても応答はない。
「フローったら、どうしちゃったのかしら」
いつもと様子が違ったことが気になるけれど、もう眠ってしまったのかつついても反応が無いので確かめようもない。
「アメリ、お待たせ」
そのうちにニコラスが追い付いてきて、アメリの意識はフローから離れてしまった。