【辛口ヒューマンドラマ】雲にのりたい
第22話
「おい、いつまで寝ているのだ!!起きろ!!」

時は流れて、1986年7月19日の早朝5時過ぎだった。

私は、運転手《うんちゃん》の怒鳴り声で目覚めた。

えっ…

もうついたの?

私は、眠い目をこすりながら起き上がった。

ところ変わって、国鉄肥前山口駅の近くにある広場にて…

ショルダーバッグを持ってトラックから降りた私は、ふらついた足取りで駅へ向かった。

まだ眠いわ…

どこかでゆっくり寝たい…

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、朝7時過ぎであった。

私は、国鉄佐世保線の各駅停車《ドンコウ》に乗って再び旅に出た。

早岐駅《はいきえき》で列車を降りた私は、路線バスを乗り継いで平戸へ向かった。

平戸に着いたのは、午後3時過ぎであった。

私は、鹿児島で会った乞食《ホームレス》のおっちゃんから受け取ったメモを頼りに平戸市内《しない》のあちらこちらを歩き回った。

養父《ちち》と一緒にケームショで暮らしていた男の行方を探したが、見つからなかった。

あとになって分かった話であるが、養父《ちち》と一緒にケームショで暮らしていた男はいっときのあいだ平戸《ここ》で暮らしていたが何年か前に行方不明になったことが分かった。

私は…

なにをしに平戸《ここ》に来たのだ…

なんのあてもないウロチョロしていただけじゃないか…

………

(ザザーン〜)

時は、夕方5時過ぎであった。

私は、夕暮れの海を見つめながらサントリー缶ビールをのんでいた。

私は…

この先、どうやって生きて行けばいいのだ…

私は…

ほんとうはどんな生き方を望んでいたのか…

…………
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