【辛口ヒューマンドラマ】雲にのりたい
第9話
時は、1969年6月5日の午後2時半頃であった。

またところ変わって、今治市宝来通《しないほうらいどお》りにある農協の本所にて…

雅俊《まさとし》は、ものすごくイラついた表情で書類の整理をしていた。

この時、女性の職員がものすごくもうしわけない表情で雅俊《まさとし》のもとにやって来た。

「あの〜」
「なんだ!!」
「係長〜」
「仕事中だ!!」
「係長、日高の支所の人が係長に会いに来ています〜」
「仕事中だと仕事中だ!!」

そこへ、上の人がものすごく困った表情で雅俊《まさとし》のもとにやって来た。

「雅俊《まさとし》さん〜」
「なんやオドレ!!」
「日高の支所の人が雅俊《まさとし》さんに…」
「あとにしろ!!」
「すぐ終わるから…」
「やかましい!!あとにしろ!!」
「あとにはできないのだよ〜」
「なんやオドレ!!ふざけるな!!」

(バシ!!)

思い切りブチ切れた雅俊《まさとし》は、書類のたばを上の人にぶつけたあと怒った表情で応接間へ向かった。

書類のたばをぶつけられた上の人は、つらそうな表情でつぶやいた。

なんでわしに書類のたばをぶつけるのかな…

困るねん…

ところ変わって、応接間にて…

応接間に日高の支所の支所長さんと職員の瀧野公章《たきのきみあき》(24歳)と雅俊《まさとし》の3人がいた。

支所長さんは、公章《きみあき》がお嫁さんを欲しがっているのでなんとかしてほしいと雅俊《まさとし》に頼んだ。

公章《きみあき》は終戦の一ヶ月前(1945年7月あたり)に樺太の最北端の町・エストルで生まれた…

終戦の6日前に親御《おや》きょうだいたちは、生後間もない公章《きみあき》を置いて逃げ出したあと行方不明になった…

公章《きみあき》は、通りかかった家族たちに助けられたあとホンドへどうにかキカンした…

公章《きみあき》を助けた家族たちは、みちよの親類の家の人たちであった…

公章《きみあき》の親御《おや》きょうだいたちは、残念ながら集団自決で命を絶った…

それから24年の間、ものすごくつらい人生を歩んだ…

だから、公章《きみあき》に花嫁さんが必要である…

…と支所長さんは雅俊《まさとし》に言うた。

雅俊《まさとし》は、公章《きみあき》はまだヒヨコだからだめと言うて拒否した。

支所長さんは、ものすごく困った表情で雅俊《まさとし》に言うた。

「雅俊《まさとし》さん。」
「なんでしょうか!?」
「なんで拒否するのかな?」
「支所長!!瀧野《たきの》くんはヒヨコだからだめと言いました!!なんでそんなヒヨコにお嫁さんが必要なのだ!?」
「だから、瀧野《たきの》くんはセンソーで…」

支所長さんがつらそうな表情で言うたので、雅俊《まさとし》は怒った声で言うた。

「支所長!!帰ってください!!」
「雅俊《まさとし》さん〜」
「瀧野《たきの》くんはまだ24ですよ!!」
「24は大人だよ〜」
「支所長!!職員を甘やかさないでください!!」
「甘やかしてなんかいないよ〜」
「支所長!!」
「雅俊《まさとし》さん、なんでそんなにガーガーガーガーおらんだら瀧野《たきの》くんがびっくりするよ〜」
「支所長!!」
「雅俊《まさとし》さん〜」
「そんなにお嫁さんがほしいと言うのであれば、お給料が上がってからにしろと言うてください!!」
「雅俊《まさとし》さん〜」
「どんなに支所長が言おうと24はヒヨコだ!!ヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコ…ヒヨコだと言うのが分からないのか!?」

支所長さんは、ものすごく困った表情で雅俊《まさとし》に言うた。

「雅俊《まさとし》さんは、瀧野《たきの》くんがどんな生き方をしたのか聞いてないの?…瀧野《たきの》くんは中学校を卒業したあと松山へ出た…定時制高校に通いながら働いた…大学に進学したあとも苦学生の暮らしで通したのだよ〜」

雅俊《まさとし》は、ものすごく怒った声で『作りバナシをするな!!』と言うたあと支所長さんに花びんを投げつけたあと席を離れた。

(バーン!!)

ものすごく怒った表情を浮かべている雅俊《まさとし》は、応接間のドアをバーンとしめた。

どいつもこいつも権利ばかりを主張している…

ふざけるな…

時は、夜7時過ぎであった。

またところ変わって、山尾《やまお》の家の大広間にて…

大広間のテーブルに私とみちよ明夫婦と理恵の4人がいた。

賢也《けんや》は、外へのみに行ったので家に不在であった。

テーブルの上には、理恵が作った晩ごはんが並んでいた。

この時、宏美《ひろみ》がものすごくつらい表情でやって来た。

みちよは、ものすごく困った表情で宏美《ひろみ》に言うた。

「ちょっと宏美《ひろみ》さん〜」
「なによぅ〜」
「宏美《ひろみ》さんはこのままでいいの!?」
「だからなにが言いたいのよ~」
「この最近、あなたたち家族の帰りが遅くなっているわよ!!」
「奥さまやめてよ〜」
「宏美《ひろみ》さん!!」

みちよの端にいた明がものすごくつらい表情で言うた。

「かあちゃん、ごはんを食べている時にガーガー言わないでくれよぅ〜」

みちよは、怒った声で明に言うた。

「あなたはだまってよ!!」

みちよは、それから5秒後につらい表情で宏美《ひろみ》に言うた。

「宏美《ひろみ》さん!!」
「なによぅ!!」
「宏美《ひろみ》さんはそれでも親なの!?」
「うるさいわね!!お説教しないでよ!!」
「宏美《ひろみ》さんは『どんなに遅くなっても晩ごはんを作ります!!』と言うたよね!!…あれはウソだったのね!!」
「ウソじゃないわよ!!」
「それじゃあ、なんで遅い時間に帰って来るのよ!?…たしか、3〜4日前は深夜11時半頃に帰宅したよね〜」
「だからその時は、ナマケモノのOLが残したお仕事を始末するために残業したのよ!!きのうも、ポンコツ従業員ひとりがわがままをこねたせいで残業をしたのよ!!定時に帰ることとアフターファイブだけはやる気マンマンのナマクラ従業員たちのせいでうちはものすごく怒っているのよ!!」

宏美《ひろみ》は、自分が勤務している職場の従業員さんたちの悪口をボロクソに言いまくったあと大きくため息をついた。

みちよは、ものすごく困った表情で宏美《ひろみ》に言うた。

「もう分かったわよ…宏美《ひろみ》さんは、職場の従業員さんたちを信用していないのね…それよりも、一徳《かずのり》くんのことはどうするのよ?」

みちよから困った表情で言われた宏美《ひろみ》は、ものすごくめんどくさい表情で言い返した。

「うちはめんどくさくなったので、一徳《かずのり》の食事はおたくで摂るようにします…お風呂もここで入らせてください…行きます…」

めんどくさい表情を浮かべている宏美《ひろみ》は、みちよに頼み事をしたあと家から出ようとした。

この時、理恵《りえ》が家から出ようとした宏美《ひろみ》を止めた。

「ちょっと待ってください!!」
「なによ!!」
「宏美《ひろみ》さんは、このままお帰りになるのですか!?」
「あのね!!うちはこれから職場へ戻るのよ!!ポンコツ従業員がミスしたお仕事の後始末をするために残業をするのよ!!…あしたの朝イチの高速艇《フネ》に乗って岡山に行くのよ!!…取引先の会社にあやまりに行くのよ!!…ポンコツ従業員ひとりのせいでケイヤク破棄になったらうちはクビになるのよ!!」

宏美《ひろみ》は、ものすごく怒った声で言うたあと叫び声をあげながら家から出ていった。

………

それから1分後であった。

小4の私は『もう食べない!!』と言うたあとプンとひねた。

近くにいたみちよは、困った表情で私に言うた。

「一徳《かずのり》くん、どうしたのかな?ごはんがたくさん残っているわよ~」
「食べたくないと言うたら食べたくない!!」
「困ったわね~」

理恵《りえ》は、やさしい声で私に言うた。

「一徳《かずのり》くん…ねえ一徳《かずのり》くん…今、7時20分よ~」

だからなんだと言うのだ…

小4の私は、ひねた表情でつぶやいた。

理恵《りえ》は、やさしい声で私に言うた。

「7時半から(NHKで放送されているアニメ)があるよね…アニメみたいよね…8時からプロレスがあるよね…」

だからどうしろと言うのだよ…

理恵《りえ》は、やさしい声で私に言うた。

「テレビを見る前にごはんを食べようか…うちも一緒に食べるから…ああ、白いごはんにたまごのキミを落としてあげるから…一緒にごはんを食べよう…」
「ふざけるな!!」

思い切りブチ切れた私は、かたいものを理恵に投げつけた。

(ゴツーン!!)

理恵《りえ》のひたいにかたいものがぶつかった。

理恵《りえ》は『いたい!!』と言いながらビービービービーと泣いた。

思い切りブチ切れた私は、プンでひねた状態でかたくなった。

ふざけるな…

なにがテレビをみたいのであればごはんを食べようだ…

理恵《りえ》は、どこのどこまで人をグロウしているのだ…

時は、深夜11時半頃であった。

またところ変わって、今治市大正町《しないたいしょうちょう》の酒場街にて…

よしみは、背広姿《スーツすがた》の若い男と腕を組んで歩いていた。

サイバンザタになったよしみは、反省の色がまったくなかった。

それどころか、ところ構わずに男をつまみ食いしていたので深刻なトラブルに巻き込まれるおそれが出た。

事件は、ふたりが出た飲食店《みせ》から80歩先で発生した。

この時、派手なシャツを着た男がふたりのもとにやって来た。

「オドレふざけるな!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」

派手なシャツを着た男は、刃渡りのするどいナイフでよしみを刺した。

一緒にいた男性もナイフで右肩を斬《き》りつけられた。

派手なシャツを着た男は、その場から逃走した。

よしみは、その場で死亡した。

男性は、全治5ヶ月の大ケガを負ったが命に別状はなかった…

大ケガを負った男性は、宏美《ひろみ》が勤務している職場のポンコツ従業員だった。

このあと、ポンコツくんは見知らぬ女性をナンパしたあとつまみ食いをしていたことがあからさまになった…ので、会社を追われるハメになったようだ。

その頃であった。

宏美《ひろみ》は職場で残業していた…

雅俊《まさとし》も残業していた…

…であった。

ふたりともよしみのことは知らないと言うてムカンシンを通した。

ゆかりは、夜9時前に帰宅したあと私を連れて借家《いえ》に帰った。

この日の夜、私はゆかりと一緒にとこについたがイッスイもできなかった。

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