アラ還に、恋をしちゃダメなんですか?       ~匠先生の気持ち~
車の中はほぼ会話が無い。
元々あまり話さない俺と、明らかに緊張している彼女。
デリバリーの食事もほとんど食べず、アメリカ出張の話も耳に入ってない様子。
ただホテルは良かったのと、母と友達になったと。
母と友達とは驚いたが、ホテルが気に入ったならまた連れて行こうと思う。

明らかに緊張している。
早くゆっくりさせてあげたい。
「疲れただろうからお風呂入っておいで
その間に片付けとくから
着替えなんかは風呂場のキャビネット一番下」
今日のために準備はしておいた。

早く片付け、彼女が上がってくれば、
「疲れてたら先に休んでて…、
寝室はこっちだから」と。
自分も急いだ。

上がってくるとまだリビングにいる。
風呂上がり、水を飲んでいたようだ。

「未だ早いけど、寝る?」
彼女を寝室に連れていった。
さっきよりは緊張が解けたようだ。

いつもの広いベッドは二人が寝ても充分の広さ。
彼女を奥にして、横に滑り込み、
「今日は疲れた?」
彼女の前髪を掻き上げて、
「寝れそ?」って、顔を近づけて聞いてみた。

そしたら彼女は微笑んで
「眠れそうにないから眠剤を飲みました」と。
出すんじやなかった。
ご主人が亡くなって、寝られないと言ってたから…。
程なく彼女は、寝息を立てた。

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