アラ還に、恋をしちゃダメなんですか?       ~匠先生の気持ち~
実家からの連絡をそのまま放っていたら母からの電話に、姉からの職場での小言。
しょうが無く、久しぶりに実家に顔を出してみた。
とりあえず『ちゃんと食べてるか』から始まり
『お付き合いをしている人はいるのか?』と。
いないならと何やら見合写真のような物が山のように。
女3人に囲まれ、何やら嫌な雰囲気。
義兄の毎日を気の毒に思う。
「別に結婚しろと言ってる訳じゃ無いの」と、母。
「匠君の回り、若い看護師やら医師多いよね」と、環。
たしかに昔は『付き合って』とか『結婚して』とか言って近付いて来た人はいた。
それに付き合っていたのは確かだけれど。
ただ最近は「あのホテルのアメニティが」とか「一晩だけでも」という20代の訳が分からん輩が増えた。
「匠は来る者拒まずだし、最近、陽子先生来てるし」と郁。
陽子とは本当に何もない。
何を勘違いをしているのかよく判らない。
まだ言いたくなかったが、
未だお互いのことは知らないし、早いとは思うが…。
「付き合っている人は…、いる」
言わなきゃ良かったが言ってしまった。

嵌められた。
とりあえず彼女に電話を掛けてみる。

「明日空いてる?
お袋が会いたがってるんだけど」

「了解しました」

「明日の12時。この前のホテルのロビーで」

とりあえず『契約』しておいて良かった。
待て、『契約』って言ってるけど、彼女のメリットは?
どうして付き合ってくれてるんだろう?
やっぱり他の女と一緒か。
彼女は違うと思っていたから少しがっかりしたがしょうがない。
『契約』を持ち出したのは自分だから。

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