次期当主は初恋妻を一途な独占愛で貫きたい。
「そうだ、花暖ちゃん。今日は話があって来てくれたんだよね?」
「はい。あの、これをお返ししたくて」
「……え? これは、君への結婚祝いで贈ったものなんだよ。だから遠慮しなくていいんだ」
ニコニコ笑う旦那様に私は婚約破棄されたことが言いづらい……報告した時、泣いて喜んでくれたから。
「……わ、私」
「どうしたの?」
「こ、婚約破棄されてしまったので……受け取ること出来なくて!」
「……婚約破棄された?」
旦那様は目を吊り上げていた。いつも爽やかで温厚な旦那様とはまるで別人のような表情で、手が震えていた。
「だ、旦那様……?」
「……どうして破棄されたの?」
私を見れば落ち着いたのか優しい声で私に問いかける。