スパダリドクターの甘やかし宣言
「頑張ってるよ。莉子は頑張ってる。患者さんと真剣に向き合って、何が一番最善なのか考えて行動してるって俺は知ってる。いつも近くで見てるからな。それは俺だけじゃなくて、皆分かってるよ」

 優しい言葉に涙が出そうになる。お湯をかけてこぼれ落ちそうになる涙を誤魔化していると、恭介が不意に抱きしめる腕の力を強めた。

「だから莉子は莉子の、自分が正しいと思うことを貫いていけばいいんだ。取るに足らない奴の戯言なんて気にしなくていい」
「うん……」
「どうしてもしんどくなったら、その時は俺を頼れ。莉子を傷つけるやつは俺が許さないから」

 真っ直ぐに私を射貫く恭介の瞳には力強い光が宿っていた。彼が守ってくれると、そう思ったら、鉛のように胸に居座っていた憂鬱が砂になって消えていく気がした。
 
「うん、ありがとう恭介」

 見つめあうと、自然と距離が狭まり、唇が重なった。
 触れるだけのキスはすぐに深くなり、唾液が混ざり合う淫猥な水音が、さざ波のような葉擦れの音の合間に響く。
 絡めあった舌が解かれたと思うと、熱情を孕んだ熱い眼差しが私の全身に注がれた。

「もう一回愛したい」

 甘く、淫らな言葉に私の体の芯が発火したように熱くなる。熱に浮かされたまま頷くと、また噛み付くように口付けられ。
 私たちはそのまま互いの熱をぶつけ合った。
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