なぜか彼氏が2人できちゃいました……。
「え、ううん。嫌いとかじゃない。でも、だって私達、友達でしょ?」


そうだよ、岳は友達だもん。


こんな風にいきなり抱きしめてくるなんておかしいよ。


って言うか何かが引っかかる気がして仕方がないんだ。


微かな違和感に半歩後ずさりして、長身の彼を見上げた。


目が合うと白い歯を見せて爽やかに微笑むから余計に戸惑った。


この薄暗くてむさ苦しい空間には似つかわしく無いほど輝いている。


その笑顔には見覚えがない。


岳ってこんな風に笑う人だったっけ。


「……あ」


そこで、ピンとある考えが閃いた。


「あー、わかった岳。私のことからかってるんでしょ?ひどいなー」


「……」


探るように彼を見ると、なんとも困った顔をされた。


「だって、こんなの岳らしくないもん」


「はぁ、岳らしく無いか」
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